日本矯正歯科学会認定医・歯学博士 河底晴紀
「矯正を始めてから、口内炎が増えた気がする…」
「ワイヤーがあたって口の中が痛い」
矯正治療中、このような悩みを抱える患者さんは少なくありません。
特にワイヤー矯正では、装置の金属部分やワイヤーの端が口の粘膜に触れて、口内炎ができやすくなる傾向があります。
この記事では、矯正治療を行っている日本矯正歯科学会認定医の立場から、
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矯正治療中ならではの口内炎の原因
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当院での治療法(デキサメタゾン塗布・レーザー照射)
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ワイヤー矯正で口内炎ができるメカニズム
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対処法(ワイヤー調整・ワックス使用)
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口内炎に効くビタミン
について、わかりやすく解説します。
矯正治療中ならではの口内炎とは?
矯正治療中にできる口内炎は、大きく分けて2種類あります。
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物理的刺激による口内炎
ワイヤーやブラケット(歯の表面につける金具)が、唇・頬・舌などの粘膜に接触して傷をつくり、そこから炎症が起こるタイプです。 -
免疫低下・栄養不足による口内炎
矯正治療中は食事のしにくさから咀嚼回数や食べる内容が変わり、栄養が偏ることで口内炎ができやすくなることがあります。
特にワイヤー矯正の開始直後や調整後は、装置が粘膜に擦れやすくなり、慣れるまでの数週間は口内炎が頻発するケースも珍しくありません。
当院での口内炎治療法
当院では、矯正治療中の口内炎に対して2つの有効な治療法を行っています。
1. デキサメタゾン軟膏の処方
デキサメタゾンは、ステロイド系の抗炎症薬で、炎症を抑え、痛みを早く軽減させる効果があります。
口内炎部分に直接塗ることで、治りが早く、痛みも軽くなるため、患者さんからの満足度も高い治療です。
2. レーザー治療
当院では口内炎にレーザー照射を行うことも可能です。
レーザーを照射することで、痛みがその場で軽減され、治癒期間も短縮します。
特に「早く痛みを取りたい」という方や、「大事なイベントや仕事がある」という患者さんに喜ばれています。保険診療で治療可能です。
ワイヤー矯正で口内炎ができるメカニズム
ワイヤー矯正では、以下の理由から口内炎ができやすくなります。
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矯正治療の過程でどうしてもワイヤーが当たりやすくなることがありブラケットやワイヤーの端が頬や唇に当たる
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口腔内で金属部分が常に存在し、粘膜との摩擦が増える
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発音や咀嚼時の舌の動きでワイヤーや金具に接触する
特に奥歯の後ろ側はワイヤーの端が出やすく、知らない間に頬の内側を擦ってしまうことがあります。
対処法
矯正治療中に口内炎ができてしまった場合、以下の方法で改善できます。
1. ワイヤーの調整
ワイヤーの端が飛び出している場合は、矯正歯科でカットや曲げ直しを行います。
痛みの原因を根本から取り除くため、早めの来院をおすすめします。
2. 矯正用ワックスの使用
ドラッグストアや歯科医院で手に入る矯正用ワックスを金具やワイヤーの当たる部分に貼ることで、粘膜への刺激を減らせます。
当院では販売しており、特に調整後の敏感な時期に役立ちます。
口内炎に効くビタミンは?
口内炎予防・改善には、栄養バランスのとれた食事が重要ですが、特に以下のビタミン類が有効です。
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ビタミンB2:皮膚や粘膜の再生を助ける(レバー、卵、納豆、乳製品)
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ビタミンB6:タンパク質代謝を助け、粘膜の健康を保つ(マグロ、カツオ、鶏肉、バナナ)
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ビタミンC:免疫力を高め、炎症を抑える(柑橘類、イチゴ、パプリカ)
矯正治療中は食事が制限されることもありますが、できるだけこれらの栄養素を摂るようにしましょう。当院には管理栄養士が在籍しております。
まとめ
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矯正治療中は口内炎ができやすい
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当院ではデキサメタゾン軟膏とレーザー治療を実施
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ワイヤーの端やブラケットが粘膜に当たることが原因
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ワイヤー調整・矯正用ワックスで対策可能
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ビタミンB群やCを意識して摂ることも有効
福山市で矯正治療中の口内炎にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
日本矯正歯科学会認定医が、一人ひとりの症状に合わせた適切な治療とアドバイスを行います。

#口内炎
筆者プロフィール:河底晴紀(歯学博士/日本矯正歯科学会認定医)
この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。
・歯学博士
・日本矯正歯科学会認定医
◾️所属
・日本臨床歯科学会
・K-Project
・FCDC
・MID-G
・福山市歯科医師会 理事