日本矯正歯科学会認定医・歯学博士 河底晴紀
「矯正歯科」と聞くと、多くの方は“歯並びをきれいにする治療”を思い浮かべるでしょう。
しかし、現代の矯正歯科が目指しているのは**「見た目の改善」だけではありません。**
噛む、飲み込む、話す、呼吸する——。
これらすべてに関わる「口腔機能」を整え、生涯にわたる健康の基盤をつくることが、矯正歯科における新たな使命となっています。
この記事では、河底歯科・矯正歯科が取り組む「口腔機能不全症」への具体的なアプローチについてご紹介します。
1. 口腔機能不全症とは?矯正歯科が注目する新しい課題
口腔機能不全症とは、噛む・飲み込む・話す・呼吸するなどの基本的な口腔機能が十分に発達していない、または低下している状態を指します。
これは単なる一時的な癖や筋力不足ではなく、放置すると「歯並び」「噛み合わせ」「姿勢」「呼吸機能」にまで影響を及ぼします。
▶︎ 矯正歯科が関与する理由
矯正歯科では、歯並びの乱れや咬合不良の原因を探る際、口腔筋の発達や機能のバランスに注目します。
たとえば、舌の位置が低い・口呼吸が多い・口唇閉鎖力が弱い——こうした状態は矯正治療の効果を妨げるだけでなく、再発(後戻り)にも繋がります。
そのため当院では、矯正治療の一環として「機能訓練」や「筋力検査」を行うことで、
見た目だけでなく「正しく機能するお口」を目指しています。
当院で行う矯正治療は自費のみとなっております。料金表はこちらです。
美容整形とは異なり歯並びの治療は機能的な回復をも目指すため、医療費控除の対象となります。こちらでどれくらい税金がかえってくるか計算してみてください。
2. 厚生労働省も注目する“機能重視”の歯科医療
厚生労働省は2018年、「口腔機能発達不全症」「口腔機能低下症」を診療報酬に正式に位置付けました。
これは、乳幼児期から高齢期までの“食べる力・話す力”を医療として支えるという新しい考え方です。
矯正歯科もこの流れの中で、単なる審美的治療から一歩進んで、
機能回復と咀嚼力向上を目的とした治療体系へと進化しています。
3. 河底歯科・矯正歯科が行う口腔機能検査
当院では、矯正前後の評価として次のような口腔機能検査を導入しています。
● リップルボタン検査(口唇閉鎖力)
リップルボタンという小型器具を唇で挟み、どれだけ強く閉じられるかを測定します。
数値が「10未満」の場合は筋力低下と判断され、口呼吸や口唇の開放傾向が疑われます。
この検査によって、矯正治療後の後戻り防止や口呼吸の改善に役立つ客観的データを得ることができます。
● 舌圧検査(舌の筋力)
舌でチューブを押し上げる力を測定し、「20〜30kPa」が正常値とされています。
それ以下の場合は、嚥下(飲み込み)や発音への支障が懸念されます。
小学生の患者様の中には、舌圧が基準値より低く、食事時に飲み込みが苦手なケースも見られます。
矯正歯科としては、これらのデータをもとに機能面からも治療計画を立案します。
4. 矯正歯科で実施する機能トレーニング
矯正治療と並行して行う「口腔筋トレーニング(MFT:筋機能療法)」は、
口腔機能不全症に対する矯正歯科ならではの重要なアプローチです。
▶︎ ご家庭でもできるトレーニング:リップトレーサー
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舌を唇と歯の間に入れる。
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舌先で歯列をなぞるように、ゆっくりと一周(約5秒)。
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これを1日5往復、継続。
この運動は、舌・口唇の協調性を高め、口呼吸や発音の改善に効果的です。
お子さまでも楽しく実践できる簡単なトレーニングとして、当院では継続支援を行っています。
(河底歯科・矯正歯科Youtubeより)
5. 機能+美しさを両立する矯正治療
河底歯科・矯正歯科は、「矯正治療に強い総合歯科」として、
咬合・審美・機能の三位一体型治療を実践しています。
矯正治療の目的は、単に歯を動かすことではなく、
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正しく噛める
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舌と唇が協調して機能する
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鼻で呼吸できる
という健康的な口腔環境を再構築することです。
当院では、
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矯正医による精密診断
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歯科衛生士による口腔ケア
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管理栄養士による食育・機能指導
を組み合わせ、治療後も一生涯のメンテナンス体制を整えています。
6. こんな症状がある方は早めの矯正相談を
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口がいつも開いている
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食べるのが遅い・よくむせる
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サ行・ラ行の発音が苦手
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口呼吸が多い
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歯並びや咬み合わせに違和感がある
こうした症状がある場合、矯正歯科的な視点での機能検査を受けることで、
根本的な原因が明らかになる場合があります。
河底歯科・矯正歯科では、口腔機能検査の併用も可能です。こちらは現在、こども医療でも可能なので、
こども医療費をおもちいただくと500円の範囲内でトレーニングも可能です。
機能回復を重視した治療を希望される方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
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矯正歯科は「見た目」だけでなく「機能」も整える医療(出っ歯、過蓋咬合、八重歯・叢生・乱ぐい歯、すきっ歯、開咬)
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口腔機能不全症は歯並び・発音・姿勢に影響を及ぼす
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検査によって筋力を可視化し、個別トレーニングを提案
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矯正+機能訓練で再発を防止し、健康な口腔環境を維持
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河底歯科・矯正歯科は、機能と美の両立を目指す総合的な矯正歯科医院
気になることがあれば、ぜひ 河底歯科・矯正歯科にご相談ください。
親子で安心して通える環境で、お子様の笑顔と健康な歯を守ります。
筆者プロフィール:河底晴紀(歯学博士/日本矯正歯科学会認定医)
この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。
◾️資格
・歯学博士
・日本矯正歯科学会認定医
◾️所属
・日本臨床歯科学会
・K-Project
・FCDC
・MID-G
・福山市歯科医師会 理事