日本矯正歯科学会認定医・歯学博士 河底晴紀
「矯正治療に興味はあるけれど、費用のことが心配で踏み出せない」というお声をよくいただきます。
実際、歯列矯正は自由診療のため、治療法によって料金の幅も大きく、分かりづらいと感じる方も少なくありません。
今回は、当院で提供しているワイヤー矯正・マウスピース矯正・部分矯正・小児矯正の費用とその内訳を、わかりやすく整理してご紹介します。あわせて、医療費控除の考え方やお支払い方法、矯正を成功に導くための費用の捉え方についても、歯科医の視点からわかりやすく解説します。当院の医療費控除ページには還付される金額のシミュレーターがついていますのでぜひやってみてください。
1.なぜ歯列矯正が必要なのか
歯列矯正は、単に見た目を整えるための治療と思われがちですが、実際には「咬み合わせを整え、機能的な口腔環境をつくること」が本来の目的です。咬み合わせが乱れていると、一部の歯に過度な負担がかかり、歯の摩耗や破折、顎関節への影響が出ることもあります。
また、歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくく、むし歯や歯周病のリスクも高まります。矯正治療によって咬み合わせのバランスが整えば、こうしたトラブルの予防につながり、歯の健康を長く保つ土台になります。
最近では、大人になってから矯正を始める方も増えています。マウスピース型矯正装置や目立ちにくい白いブラケットの登場により、年齢を問わず治療に踏み出しやすくなったことも理由のひとつです。
当院でも幅広い年齢層の方が矯正治療に取り組まれています。「今さら」と思っている方こそ、まずはお気軽にご相談ください。
2.矯正の種類と特徴
矯正治療には、ワイヤー矯正やマウスピース型矯正、部分矯正、小児矯正など複数の方法が
あります。見た目や装着感、治療期間などは装置によって異なります。自分に合った方法を
選ぶには、それぞれの特徴を理解することが大切です。
2-1.ワイヤー矯正の特徴とメリット
ワイヤー矯正は、歯の表面または裏側にブラケットとワイヤーを装着して歯を動かす、実績のある治療法です。どちらも複雑な歯並びに対応でき、治療期間はおおよそ2〜3年が目安で、難易度や年齢により変動します。
⚫︎表側矯正
白く目立ちにくいブラケットを使い、見た目に配慮しながら歯をしっかり動かせます。
⚫︎裏側矯正
装置が裏側にあるため外から見えにくく、審美性を重視する方に人気です。
2-2.マウスピース矯正の特徴
透明で目立ちにくく、取り外しができるマウスピース型矯正装置は、近年人気の矯正法です。薄く滑らかな素材で違和感が少なく、食事や歯みがきも普段どおり可能です。
ただし、1日20時間以上の装着が必要で、対応できる症例も年々広がっていますが、重度の不正咬合にはワイヤー矯正が必要となることもあります。治療期間は1〜2年程度が一般的です。
2-3.部分矯正・小児矯正の特徴
【部分矯正】
歯列の一部だけを整える治療法で、「前歯のガタつきだけ気になる」「すき間を改善したい
」といった方に適しています。全体矯正と比べて治療範囲が狭いため、比較的短期間・低コ
ストでの治療が可能です（数カ月～1年程度が目安）。
【小児矯正】
乳歯と永久歯が混在する時期に行う第1期治療と、永久歯が生えそろってからの第2期治療
に分かれます。成長を活かして顎のバランスやスペースを整えることで、将来的な抜歯や後
戻りのリスクを軽減できるのが利点です。
3.矯正費用の内訳と目安
矯正治療には、装置代だけでなく検査・診断、調整、保定、オプションなどさまざまな費用がかかります。ここでは各項目の内訳と金額の目安をご紹介します。
3-1.相談・検査・診断料について
お気づきでしょうか？矯正治療がかなりお手頃で手の届きやすい価格になりました。
矯正治療について見直しを行い、総額制となりましたので月々頂いていた6,600円がなくなりました。
これにより患者さんは、治療期間が長くなっても費用負担がありませんし、当院も治療期間はできるだけ短くするよう
ドクターカンファレンスを開き、定期的に複数の矯正医で矯正治療について共有し合っています。
治療前の段階で必要となる費用は以下の通りです。
⚫︎矯正相談：2,200円（税込）
歯科専用カメラで口腔内を撮影し、院長が治療の概要をご説明します。
⚫︎精密検査：55,000円（税込）
歯型採得・レントゲン撮影・顔貌写真・口腔内写真など、治療計画に必要な各種検査を実施
します。
⚫︎診断料：22,000円（税込）
検査結果をもとに、患者様のご希望をふまえて治療方法と期間などを詳しくご説明します。
3-2.着手料・調整料・保定装置料などの詳細
【大人のワイヤー矯正】
⚫︎着手料：770,000円（税込）
白いブラケットと痛みの少ないワイヤーを使用。
毎月の調整・経過観察にかかる費用です。
⚫︎保定装置料（片顎）：22,000円（税込）
後戻り防止のためのリテーナー。
⚫︎最終資料作成料：4,400円（税込）
治療完了時に必要な記録資料の作成費です。
3-4.マウスピース矯正・小児矯正の価格
【マウスピース型矯正（インビザラインなど）】
⚫︎着手料：880,000円（税込）
透明で目立ちにくく、取り外し可能な装置を使用。
⚫︎保定装置料（片顎）：22,000円（税込）
⚫︎最終資料作成料：4,400円（税込）
【小児矯正】
⚫︎第1期治療（乳歯～混合歯列期）：330,000円（税込）
⚫︎第2期治療（永久歯列期）：440,000円（税込）
その他共通費用：
- 保定装置（片顎）：22,000円
3-5.オプション費用（アンカースクリュー等）
矯正治療の内容によっては、以下のオプション費用が加算されます。
⚫︎歯科矯正用アンカースクリュー：22,000円／本（税込）
歯を確実に動かすために必要な場合があります。
⚫︎カリエール：22,000円／本（税込）
ワイヤー矯正やマウスピース型矯正装置と併用する補助装置です。
犬歯から臼歯を後方に移動させ、歯が並ぶスペースを確保し、かみ合わせを整えます。
これにより、矯正治療が効率よく進み、治療期間の短縮が期待できます。
＊非抜歯治療が適している方に特におすすめの装置で全ての方に使用するわけではありません。
⚫︎オルソパルス（光加速矯正装置）：165,000円（税込）
在宅で使用可能な光照射型装置。治療期間の短縮が期待できます。
⚫︎便宜抜歯：4,400円／本（税込）
矯正上必要となる場合の抜歯費用です。
必要な費用は治療内容に応じて異なります。初診時には丁寧にご説明し、お見積もりもご提示いたします。気になる点があれば、お気軽にご相談ください。
4.矯正治療を始める前に知っておきたい6つのポイント
矯正治療は見た目だけでなく、かみ合わせや将来の健康にも関わる大切な医療行為です。後
悔のない矯正治療のために、事前に知っておきたい6つの重要なポイントをご紹介します。
4-1.歯科医師の専門性と経験を確認する
矯正治療の結果は、誰が治療を担当するかによって大きく左右されます。特にマウスピース矯正は、歯科医師の設計力と管理能力が成功の鍵となります。
⚫︎当院には、日本矯正歯科学会認定医が複数在籍
⚫︎マウスピース・ワイヤーの両方に精通
⚫︎初診から治療完了まで一貫して対応
専門的な知識と経験をもとに、最適な治療法をご提案します。
4-2.計画通りに進まないケースへの備え
矯正治療は、計画どおりに進むとは限りません。個人差により、歯の動きが想定外になることもあります。当院では以下のような柔軟な対応が可能です。
⚫︎マウスピースとワイヤーを組み合わせた治療
⚫︎治療途中での計画変更にも対応
⚫︎リスクは事前に丁寧にご説明
予測困難な事態にも対応できる体制を整えています。
4-3.医院との信頼関係も大切
矯正治療は長期間にわたるため、医院との相性も重要です。当院では、安心して通院いただけるよう以下の点に配慮しています。
⚫︎丁寧なカウンセリング
⚫︎小さな疑問や不安にも丁寧に対応
⚫︎スタッフ全員で患者様をサポート
コミュニケーションを大切にした診療を心がけています。
4-4.治療費の内訳と支払い方法の確認
矯正治療は自由診療であるため、費用や支払い方法は医院によって異なります。当院では以下のような対応を行っています。
⚫︎初診時に明確な費用説明
⚫︎無理のない分割払い（デンタルローン）に対応
⚫︎医療費控除の対象になるケースあり
治療前にしっかりとご説明いたしますので、安心してご相談ください。
4-5.装置ごとの特徴と適応症の違いを理解する
見た目の違いだけで矯正装置を選んでしまうと、十分な効果が得られないことがあります。
それぞれの装置には向き・不向きがあり、症例によって適した方法を選ぶことが大切です。
⚫︎マウスピース矯正
・透明で目立ちにくく、取り外しが可能
・比較的軽度な歯列不正に適している
・装着時間を守る自己管理が必要
⚫︎ワイヤー矯正
・歯を三次元的に動かせるため幅広い症例に対応
・難症例や重度の不正咬合にも適応可能
・装置が目立つことがあるが、確実性が高い
当院では、患者様のご希望と歯並びの状態をふまえ、必要に応じて補助装置の使用やワイヤ
ーとの併用もご提案しています。納得のいく仕上がりのために、治療方法の選択は慎重に行
いましょう。
4-6.ワイヤーによるリカバリー体制も重要
マウスピース矯正は進化していますが、すべての症例に対応できるわけではありません。「もしものとき」のバックアップ体制として、以下のような特徴があります。
⚫︎ワイヤー矯正でのリカバリーが可能
⚫︎3次元的な動きに対応
⚫︎難症例も幅広く対応
当院では、万が一の際にも柔軟に対応できる体制を整えています。
5.まとめ
矯正治療は、歯並びの見た目だけでなく、かみ合わせや将来の口腔内の健康にも関わる大切な治療です。自由診療のため費用に不安を感じる方もいらっしゃいますが、当院では初診時に治療内容と費用の内訳を丁寧にご説明し、無理のないお支払い方法にも対応しています。
「装置の選び方」や「治療期間の見通し」など、気になる点があれば、まずはご相談ください。
河底歯科・矯正歯科では、患者様が安心して治療を進められるよう、充実したカウンセリング体制を整えてお待ちしております。
筆者プロフィール：河底晴紀（歯学博士／日本矯正歯科学会認定医）
この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。
◾️資格
・歯学博士
・日本矯正歯科学会認定医
◾️所属
・日本臨床歯科学会
・K-Project
・FCDC
・MID-G
・福山市歯科医師会 理事
