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矯正治療で口内炎ができやすくなる理由と口内炎の種類について

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本矯正歯科学会認定医・歯学博士  河底晴紀

矯正治療では歯に装着したワイヤーやブラケットが粘膜に当たりやすく、物理的刺激により口内炎になりやすいです。特に初期は、口唇・頬・舌の摩擦が原因となり、白っぽい潰瘍や小さな痛みが現れやすくなります。​

  • 痛みや違和感が強い場合は、矯正用ワックスや粘膜保護剤の活用が推奨されます。

  • 2週間以上続く・繰り返す場合は、歯科医院で原因を確認してもらいましょう。


口内炎と似ている口腔疾患:フィステル・白板症・扁平苔癬・口腔がん

口内炎と見た目が似ているものとして、次の4つがあります。ここでは特徴や治療法を比較します。​

フィステル(歯根膿瘍)

  • 歯根の膿が歯茎の表面に出口を作った状態で、白または黄色っぽいできものとして現れる。​

  • 圧痛や膿の排出があれば、口内炎とは異なり神経治療や抜歯が必要となるケースも多い。​

  • 自然治癒せず、放置すると炎症拡大や骨融解につながるため早期治療が重要。​

白板症(口腔粘膜の白色病変)

  • 粘膜表面に白い板・斑点ができ、除去できないのが特徴。​

  • 痛みはなく、慢性的。前癌病変といわれ5~10%が悪性化する可能性がある。​

  • 特に舌・口底や頬に現れる場合は注意。医療機関で検査、生検が推奨されます。​

扁平苔癬(炎症性疾患)

  • 頬や舌に白いレース状・網目状の線が現れ、慢性化しやすい。​

  • 炎症でひりひり・痛みを伴う場合もあり、歯科金属アレルギーや自己免疫反応が原因のこともある。​

  • 白板症同様、悪性化リスクがあるが頻度は低い。定期的な経過観察と病理検査が重要。​

口腔がん(特に舌がん)

  • 初期は痛みが少ないため、口内炎だと放置されることが多い。​

  • 2週間以上治らない潰瘍、重度の出血・硬さ・しこり・隆起・壊死などがあれば、がんの可能性がある。​

  • 前癌病変(白板症・扁平苔癬)から進行することもあるため要注意。​


それぞれの疾患の比較表

 
 

口内炎か、別の疾患か見分けるポイント

  • 2週間以上治らない場合は歯科受診

  • 「白板症」は白い病変がこすっても取れない

  • 「扁平苔癬」は左右対称・レース状の白線

  • 「フィステル」は押すと膿が出る・周囲歯に虫歯や根の異変がある

  • 「口腔がん」は悪臭・出血・硬さ・壊死・しこりに注意


矯正治療中の口内炎ケア&予防法

  • 矯正用ワックスの活用(装置による擦れ防止)受付で販売しております!

  • 食事・ブラッシング時の刺激減

  • ビタミンB群・鉄分摂取

  • 十分な休養とストレス管理

  • マウスウォッシュやうがい薬(殺菌・炎症抑制)

  • 口腔粘膜が乾燥しないよう保湿

もし治療開始以降、口腔内の異常(治りにくい潰瘍・白色板状・しこりなど)が続く場合は、早期受診・病理検査が重要です。​


まとめ:矯正治療と口腔内異常の見落とし防止

口内炎は矯正中に最も多いトラブルですが、「フィステル」「白板症」「扁平苔癬」「口腔がん」など他の疾患との鑑別が大切です。数週間治らない・違和感が強い場合は放置せず、必ず歯科医へ相談してください。​

患者ご自身が「いつもと違う・治りが遅い」口内炎に気付くこと、歯科医師が粘膜疾患と矯正装置トラブルを総合的に診断することは、口腔がんなど重篤疾患の早期発見・治療にもつながります。​

口腔の健康を守り、安全な矯正治療を進めるためにも、「セルフチェック」と「定期歯科受診」を習慣化」を習慣化しましょう。

筆者プロフィール:河底晴紀(歯学博士/日本矯正歯科学会認定医)

この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。

◾️資格

・歯学博士

・日本矯正歯科学会認定医

◾️所属

日本矯正歯科学会

・日本臨床歯科学会

・K-Project

・FCDC

・MID-G

広島県歯科医師会

・福山市歯科医師会 理事

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