日本矯正歯科学会認定医・歯学博士 河底晴紀
【後悔ランキング上位は “歯の定期検診”】といわれています。
今回は、人生の晩年に多くの方が悔やむ「ある習慣」についてお話しします。
先日、佐賀新聞に掲載された記事の中で、ある雑誌の調査に基づく
“リタイア前にやるべきだったこと 後悔ランキングTOP20”
が紹介されていました。
その中で特に目を引いたのが、70代が後悔している健康関連の項目で、1位が『歯の定期検診を受けておけばよかった』だったということです。
さらに驚くべきことに、50代でも 「歯の定期検診」が後悔ランキング3位 に入っていたそうです。
つまり、多くの方が
「もっと早く、お口の健康に向き合っておけばよかった…」
と感じながら高齢期を迎えているのです。
しかし、なぜ歯の定期検診がここまで重要で、なぜ後になって後悔するのでしょうか。
この記事では、
・食生活の変化で口の健康が狂うメカニズム
・日本人の“磨いているつもり”の問題点
・一生を通して後悔しないために必要な歯科習慣
を、専門的な視点からわかりやすく解説します。
■ 歴史と文化が証明する「食習慣」と「歯の健康」の深い関係
西田亙先生の著書
『糖尿病がイヤなら歯を磨きなさい』
の中でも強調されているように、世界の民族を比較すると、
“現代食”と“伝統食”の違いが口腔環境に大きな影響を与えている ことがわかります。

たとえば…
◎ モンゴルの遊牧民
・歯磨きの習慣がほとんどない
・しかし、虫歯も歯周病も極めて少ない
・歯並びも良く、噛む力が強い
→ 理由:チーズ・肉類・乳製品など繊維質の強い食材が多い
◎ アメリカ先住民(ネイティブアメリカン)
・伝統食を食べるグループは虫歯が少なく、美しい歯列
・現代食(柔らかい加工食品・糖質多め)に置き換わったグループは虫歯・歯並びが悪化
→ 同じ遺伝子でも、食習慣が変わるだけで歯の健康に大きな差が出る
このデータは、
「軟らかい食事が“口の環境”を弱くする」
ことを示しています。
噛む刺激が少なくなると…
・唾液の分泌が低下
・自浄作用(汚れを洗い流す作用)が弱くなる
・歯並びが乱れやすい
・虫歯になりやすい
・歯周病が進行しやすい
という悪循環が生まれます。
現代日本は、世界でもトップレベルの“軟食文化”。
柔らかいパン、ふわふわのスイーツ、加工食品、柔らかい肉——。
便利でおいしい食事の代償が、実は 口腔機能の低下 なのです。
■ 歯磨きだけでは防げない“現代病としての口の問題”
歯磨きをしているのに虫歯になる…
定期検診していないと歯周病が進む…
この理由はシンプルで、
❶ 現代の食事は汚れがつきやすく落ちにくい
加工食品・糖質・柔らかい食材は、歯にべったり残ります。
❷ 現代人の骨格は細く、歯がきれいに並ぶスペースがない
顎が小さく、叢生(ガタガタの歯)が多い→磨き残しが増える
❸ 唾液量が減り、細菌繁殖が加速しやすい
噛む回数が少ない→唾液が出ない→細菌が増える
つまり、
昔の人と同じように歯磨きをしていても、現代では虫歯や歯周病は防げない
ということです。
だからこそ、
「定期検診を受ければよかった…」
という後悔が、高齢になるほど増えるわけです。メンテナンスのページはこちらへ。
■ 歯を失うと、人生の質が大きく下がる
厚生労働省のデータでは、
要介護になる原因の1つに「口腔機能の低下」 が含まれています。
歯を失うと…
・噛めない
・食べられる物が限られる
・栄養が偏る
・筋力が低下する
・外出が減る
・フレイルが進む
・認知症リスクが上がる
という負の連鎖が始まります。
健康寿命を延ばすには、
「口の健康」が極めて重要 なのです。
■ 高齢者が後悔する前に——40〜50代で始めるべきこと
70代で「歯の定期検診をしておけばよかった」と後悔するなら、
私たちがすべきことは明確です。
◎ 40代:歯周病が本格的に進行し始める年齢
→ 3〜4ヶ月に1度のプロケアが必須
→ 噛み合わせの悪化は放置すると取り返しがつかない
◎ 50代:徐々に歯を失い始める時期
→ 歯周病の進行は急激
→ 噛む力の低下→認知機能低下に直結
◎ 60代以降:維持管理が中心
→ 「残っている歯を守る」ことが最重要課題
■ 河底歯科・矯正歯科が提供する「後悔しないための口腔ケア」
当院では、
“治療”だけでなく“予防と将来の健康づくり”に重点を置いた歯科医療
を実践しています。
◎ 日本矯正歯科学会認定医による噛み合わせ管理
歯並びは 「見た目」ではなく 機能維持のための重要な要素 です。
噛み合わせが悪いと…
・歯周病が進む
・歯が早く失われる
・顎関節症になる
・全身の不調を引き起こす
矯正治療は、歯の寿命を延ばす科学的な医療です。
◎ 定期検診・メインテナンスの徹底
・歯石除去
・歯周病管理
・噛み合わせチェック
・むし歯の早期発見
予防歯科は、高齢期の「後悔」を確実に減らします。
◎ 成人からこどもまで、一貫したお口の健康管理
子どもの頃から噛む習慣が形成されるため、
「乳歯の抜け方」「永久歯の生える方向」は非常に重要です。
矯正治療と一般歯科の連携で、
一生涯続く口の健康基盤を整えます。
■ 最後に:後悔する前に「今」始めましょう
佐賀新聞の記事にあったように、
70代で最も後悔するのは“歯の定期検診を受けなかったこと”
そして、
西田医師の著書が示すように、
現代食は口の健康にとって過酷な環境
歯磨きだけでは、現代の口腔リスクに太刀打ちできない時代になりました。
後悔しないために必要なのは、
「歯が痛くなったら行く歯医者」から
「健康を守りに行く歯医者」への意識転換 です。
■ 河底歯科・矯正歯科は、あなたの“未来の健康”を守る歯科医院です
・定期検診
・噛み合わせ管理
・矯正歯科
・予防歯科
福山市で長く通える歯科医院をお探しなら、
お気軽に当院へご相談ください。
筆者プロフィール:河底晴紀(歯学博士/日本矯正歯科学会認定医)
この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。
◾️資格
・歯学博士
・日本矯正歯科学会認定医
◾️所属
・日本臨床歯科学会
・K-Project
・FCDC
・MID-G
・福山市歯科医師会 理事






