お薬シリーズ、ビスフォスフォネート製剤の危険について

事務局の河底です。

 

前回は歯の形成期にあるお子様、妊婦さん、授乳婦さんが服用すると危険な抗生剤についてお話しました。

もう一つ、歯科でよく問題になるのがタイトルにあるビスフォスフォネート(BP)製剤です。これは、骨粗鬆症のお薬です。

悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、骨転移あるいは骨粗鬆症の治療薬として多くの患者に用いられ、臨床的に有効性の高い薬剤であることは広く知られています。通常、注射用BPは悪性腫瘍患者に、経口用BPは骨粗鬆症患者に用いられることが多いです。しかし、近年、BP系薬剤投与患者において歯科治療を契機とした顎骨壊死の発症が大きな問題となっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは日本口腔外科学会のガイドラインより引用させていただいたもので日本にはこれだけのビスフォスフォネート製剤があります。

また顎骨壊死の発症は確率的にはわずかなものですが、このお薬を服用されている方の外科処置(抜歯やインプランドなど)へのリスクは

服用されていない方に比べて、格段に高くなっていることは事実です。

これらのお薬を飲まれている方には、低侵襲な処置が望ましいのでどうしても外科処置が必要な場合には内科の先生に相談の上、

処置を決めたり、場合によってはしばらくお薬の服用を停止していただいて外科処置をすることもあります。

時に外科処置をする場合には、患者さんの申告によりお薬の状況を報告していただいております。安全で効果的な歯科治療を行うため、

ご協力くださいね。なお顎骨壊死の写真は結構衝撃的なのでこちらでは掲載しないことにしますね。

小児科で出された抗生剤にびっくり!お母さんご存知ですか?

事務局の河底です。雨・暑さが少し鬱陶しいですね。

うちの長男は基本的には元気なのですが年に1回ほど風邪をひきます。そして今回がクループ症候群。

薬のおかげですぐ治ったのですが、ケンケンという犬のような、またはオットセイのような特徴のある咳を繰り返します。また夜中に「息ができない」と少しゼイゼイした感じになります。

クループ症候群自体は以前にも経験したことがあるので「あれだな」と驚きもせず、対処できたのですが、小児科に行ったところ抗生剤としてテトラサイクリン系を処方されたので丁重にお断りしました。

確かに昔から百日咳などに有効な薬として使用されてきたのかもしれませんが、8歳以下の子供が連続して服用すると

歯のエナメル質形成不全・着色などの問題を引き起こします。

テトラサイクリン歯とは、妊婦や授乳中の母親、および永久歯の形成期(出生直後~小学校入学前後の8才頃)までの小児がテトラサイクリン系抗生物質を多量に投与された場合の副作用として歯の変色が起こった歯のことをいいます。

歯の色がグレーや黄色、縞模様(しまもよう)になっていたりしたらこのテトラサイクリン系抗生物質の影響で変色してしまった歯である可能性があります。

こんな歯を見たことはありませんか?

 

 

 

 

 

変色のメカニズムは、形成中の歯に含まれるCa(カルシウム)とテトラサイクリンが結合して歯に沈着します。歯に沈着したテトラサイクリンは紫外線に当たることにより酸化して色が濃くなり、通常の歯の色とは異なる色を生じます。色のタイプは主にグレー系統、イエロー系統からブラウン系統にわかれます。

 

日本では昭和40年代に生まれた世代の方にこのテトラサイクリンによる変色の方が多いと言われています。

妊婦さん、授乳中のお母さん、永久歯の形成期のお子さんを持つお母さん、気をつけてあげてください。

なお、このテトラサイクリンによる変色をとげた歯はホワイトニングができません。ラミネートベニアやかぶせの歯にしないと色を白くすることはできません。お子様の歯をきれいに守ってあげてくださいね。

2018MID-GマニュアルコースMVP受賞

 

 

 

 

 

 

 

事務局の河底です。

もう7月になりますのでタイトルのMVP受賞から数ヶ月がたってしまいました。

日本の歯科医院における教育に「Evidence」ををコンセプトに東京都で9医院を展開されている荒井先生が発足させたスタディーグループがMIDGです。

私たち歯科医院はプロとして最高の歯科医療を提供しなければなりません。

MIDGに出会い当院の教育環境は大きく改善されました。開院当初は、私と妻とスタッフ3名の小さい歯科医院だったので教育は先に入った先輩が教えるというスタイルが当たり前でした。その質のチェックもうまくできていない状況でした。

毎年規模が少しずつ大きくなるにつれ、小さな問題が少しずつ出てきました。当院に新卒で入った歯科衛生士、中途採用で入った歯科衛生士で少しずつやり方が違う、また新たに入ったスタッフはそのやり方の違いに戸惑う、などの問題がありました。教える側も新しくスタッフを迎え入れて嬉しいはずなのに、また一から教えないといけないと思う気持ちがあるのも事実でした。

表題のマニュアルコースでは職種別のマニュアルや医院の規則についてのマニュアルを作成し、年度末に全ての種類のマニュアルを点数化し、賞をいただけるものです。

院長には25年以上の歯科医師としての技術があります。

でもここまでたどりつくには多くの学会・講習会・多くの経験を積みたくさんの苦労もしてきました。ところがマニュアルがあるということは、

その院長が25年以上かけて積み上げてきたのものを大幅に短縮し、技術を確かに学べるという効果があります。

もっとわかりやすくいうとミシュラン3つ星のレストランのシェフが25年かけてつくりあげてきたレシピ。それを同じように開発しようとするとまた25年いやそれ以上かかるかもしれません。ところがそのレシピがあるとどうでしょうか?そのレシピを忠実に再現できる正確さがあれば次なるシェフは25年という歳月を経なくても同じメニューが作れるのです。

マニュアルを半年かけて作る作業は想像してはいたものの、想像以上に大変なものでした。はっきりいって、昭和世代の私はこんなマニュアルなんてなくて「書いて覚えなさい」「見て覚えなさい」で仕事をしてきた世代です。でもそういう気持ちは金輪際、捨ててここまで書く?!というくらい丁寧に書きました。

また、ただただやり方だけを書くのではなく、なぜこうするのか、まで記載したり、若い世代の人がマニュアルを見て読むのが辛くならないように文章をわかりやすくしたり、図解したり、それでも伝わらないものには動画まで作りました。

MIDGのマニュアルコースには毎年全国でもかなり勉強意識の高い歯科医院が集ってきています。その中でMVPに選ばれたということは診療をしていくうえで大きなモチベーションアップにつながりました。また、普段第三者機関に評価してもらう機会は多くはないので、日頃やっている診療への大きな自信にもなりました。新しく入ったスタッフにも、わかりやすくて早く覚えられると好評ですし、患者さんにとってもより高い技術を提供できます。

私たちはこれでいいや、という満足のもとには発展はないと考えています。さらに進化を続けて、プロとして最高の歯科医療を提供できるよう進んでまいります。

 

当院には院内に技工士がいます

私たちが行っている歯科医療には歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士、歯科助手といった、それぞれに役割のある職業で患者さんにより良い医療を提供しています。

今日は、その中でも歯科技工士について書いていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

歯科医師や歯科衛生士と比べると歯科技工士は治療現場では、患者さんと触れ合う機会が少ないので、一般の方にはあまりなじみのない職業かと思います。

歯科技工士は主に歯科技工所で働いている方が多いのですが、当院の強みとしてあげられる項目のひとつに院内に歯科技工士のスタッフがいることです。

なぜそれが強みだと言えるのか、歯科医療において歯科技工士はどのような役割をしているのか、院内技工士がいることによってどのようなことがメリットなのか、実際に当院で行っている歯科技工士の仕事について是非知っていただきたいのでご紹介していきます。

・院内技工士が常住する事のメリット

歯を失ってしまって入れ歯をつくらなければいけなくなった方や虫歯が原因でかぶせをつくらなければいけなくなった方など様々な患者さんが来院されます。そのような方のために、かぶせなど(補綴物)の製作が求められる歯科医院にとっては歯科技工士は欠かせない存在です。

院内技工士がいることによって、患者さんのお口の中を直接見ることができるので、お口の中の状態を把握しやすく、頻繁に患者さんとコミュニケーションが取れます。そのため、患者さんからの要望(見た目が気になる、しっかり咬んで食事をしたいなど)を直接お聞きし、高い満足度を得ることができます。また、院長や歯科衛生士とも密なコミュニケーションが取れるので安心で安全なクオリティの高い医療を提供することができます。

また、実際にかぶせものを作るのは外注で専門的な技工所にお願いしているのですが、院長が常に前進していきたいという考えに寄り添ってくれる勉強熱心な技工士さんです。

また入れ歯についても技工士が常駐していることによって、修理にかかる時間や調節する時間などが圧倒的に短くなります。

入れ歯を作り替えたい、かぶせを見た目の良いものに変えたいなどのお悩みがありましたら、遠慮なくご相談ください。

よく聞く口内炎、その原因や治療法は?

今日は口内炎の話をしたいと思います。

堀ちえみさんのニュースがあってから今までただの口内炎と思っていたものが気になりだしたという方が増えています。

患者さんからも「ベロにできたのも口内炎っていうのかしら・・・」と質問を受けたりします。

答えはYES!なんです。

実は口腔内の粘膜の表面にできた炎症は全てまとめて『口内炎』と言われます。

口内炎ができた部位によって 舌炎や口唇炎、口角炎と分類させることもあります。

病態によって アフタ性口内炎や潰瘍性口内炎と分類されるものもあり、一口に口内炎と言っても詳しく見てみると様々な種類があります。

次になぜ口内炎ができるのかです。

原因は様々ですが明らかになっているものは、細菌・真菌・ウイルスなどによる感染症として起こるものです。

これも感染している菌によって名称が違ってきます。

よく聞くものではヘルペス性口内炎があります。これは単純疱疹ウイルスに感染することによって起こります。

感染症以外では抗菌薬やステロイド薬を服用していること・アレルギー・白血病・放射線などの関与が考えられ、他にも体調が悪いときにできやすいことから全身疲労や風邪・胃腸障害・ビタミン欠乏などが考えられます。

さらに金属などのかぶせ等の補綴物で不良なもの、むし歯などによる粘膜への刺激も原因となることもあります。

次に口内炎の治療法についてです。

一般的に口内炎にはステロイドを含む口腔内用軟膏や貼付薬が使用されます。

この薬は口内炎にとてもよく効きます。

さらに口内炎は時間の経過とともに自然に治癒することも多いです。

当院では院長の所見の下で次の処置を行います。

①軟膏の処方

当院では『デキサルチン口腔用軟膏』の処方を行っております。

 

②レーザー処置

レーザーを当てることで炎症を抑え、傷の直りを早めることができます。

レーザーと聞くと痛そうに感じるかもしれませんが痛みはほとんどありませんのでご安心ください。

  

最後に予防法についてです。

・口腔内を清潔に保つこと

口腔内疾患の原因が細菌であることが多いです。ですからまず口の中の細菌を減らす事が大切です。

・体調を整える

体の免疫が下がっていると普段悪さをしない細菌でも原因になることもあります。

バランスの良い食事や十分な睡眠をとることが大切です。

・粘膜への刺激を無くす

歯の尖っている箇所や口に合わなくなった補綴物などがずっと粘膜に当たって刺激しているとそこに炎症が起こることがあります。

被せのやり替えや尖った部分を磨いて丸めることで刺激を取り除くことが大切です。

今日は口内炎についてお話をしてきました。

先ほども話したように口内炎は薬や時間の経過とともに治っていきます。

しかし、全身疾患の初期症状として口内炎ができるということもあります。

「薬を塗っても治らない」「しばらく経っても治らない」という場合は放っておかずに

速やかに病院を受診するようにしてください。

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