皆さんは普段筋トレをしていますか?
体を鍛えることはよくあってもお口の中の筋肉を鍛えることはあまり聞いたことがないと思います。さて、お口の筋肉ってどこだと思いますか?
歯の外側には唇や頬、内側には舌がありますよね。これらの筋肉は常に歯に力を与えています。この力のバランスが崩れていると、矯正治療をしていても歯は正しい位置を保つことはできません。
当院では、歯並びを悪くする原因(癖、習慣)を持っている方にMFT(口腔筋機能療法)といって、「お口の周りの筋肉の機能を改善する訓練」を行っています。
目的としては、「歯列の正常な形態を維持するための環境づくり」です。
しかし、MFTは力をつけるだけの「筋トレ」ではありません。強すぎる筋肉はリラックスさせ、弱すぎる筋肉は正しくはたらかせるようにしていきます。
適切なMFTと矯正治療を組み合わせることによって、治療の進行がスムーズになり、術後の後戻りを防ぐことに繋がります。
では、歯並びが乱れる癖、習慣はどのようなものがあるのでしょうか。
ここでいくつか紹介していきます。
<姿勢>
歯並びに影響する要因の一つに、日常的な姿勢があります。
その中でも、睡眠の時やリラックスしている時の姿勢である「うつぶせ寝・横向き寝」と「頬杖」は歯並びへの影響が大きい癖としてあげられます。
この3つの癖があると、
・歯並びが悪くなる
・歯がまっすぐ立たない
・顔のバランスが悪くなる
・全身がねじれてくる など
これらの癖はお口だけではなく全身にも関わってきます。
お口の周りに筋肉は全身の筋肉とも連動していますので、ご自分の姿勢を見つめ直してみてはいかがでしょうか。
<舌の癖>
舌の癖というのは、例えば舌で前歯を触っていたり、上と下の間にあることです。
では、今みなさんの舌はお口の中のどこにありますか?
舌の位置なんて普段そんなに意識していない方が多いかと思いますが、実は舌にも正しい位置があります。
本来の舌の位置は上顎にくっついており、舌の先は前歯にぎりぎり当たらない位置になります。
図で示されている「スポット」と呼ばれる場所におさまっているのが正しい位置になります。
舌の癖の中にも舌突出癖(ぜつとっしゅつへき)といって、舌を前に出す癖があげられますが、元々舌が大きい方や口呼吸や指しゃぶりを長く続けていると現れることがあります。
この癖をしてしまうと、歯の間から舌が見えたり、ご飯を飲み込むときに舌をうまく使えていなかったり、発音がうまくできなくなったりします。
舌が正しい位置にないと歯並びにこんな影響が出てきます。
・出っ歯になりやすい
・受け口になりやすい
・歯並びがガタガタに乱れやすい など
歯並び以外にもこんな影響が出てきます。
・口呼吸
・発音が悪くなる
・顔がたるんでくる など
舌が正しい位置になければ、自らの舌の力で歯並びや咬みあわせを崩しやすくなってしまいます。矯正装置が外れた後の後戻り防止のためにも正しい舌の位置や、正しい飲み込み方を習慣にしていく必要があります。
芸能人にも「やるなら今でしょ」の東大・林修先生や俳優の桐谷健太さんなど、舌癖がある方がいらっしゃいます。おそらくテレビに出て仕事をされている方なので、人から指摘されることもあるでしょうが、なかなか子供の頃からの癖を大人になって治すということは大変なことです。せっかくきれいに治した歯列を維持するためにも、悪い癖を改善しましょう。
私達は、歯医者が痛いことをされる嫌なところではなく、自分の未来を明るく変えてくれて通ってくるのが楽しくなるような歯科医院づくりを目指しています。
この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。
・歯学博士
・日本矯正歯科学会認定医
◾️所属
・FCDC
・福山市歯科医師会 理事
・一般社団法人福山市歯科医師会附属福山歯科衛生士学校 歯科矯正学講師