
日本矯正歯科学会認定医・歯学博士 河底晴紀
矯正治療を検討している方から、次のような質問を非常によくいただきます。
「大学病院の矯正って安心?」
「費用は高い?安い?どっちがいいの?」
「民間の矯正歯科との違いは?」
結論から言えば、大学病院と民間の矯正歯科には費用構造・治療体制・スピード・担当医の在籍状況などに大きな違いがあります。
そのため、どちらが優れているという話ではなく、患者様の症例によって適した場所が異なるということです。
本記事では、大学病院の矯正費用の実態、メリット・デメリット、そして福山市の 河底歯科・矯正歯科がどのように治療を行っているのかまで、詳しく解説します。
1|大学病院の矯正はどんな人に向いている?
大学病院の矯正治療は、次のような方に適していることが多いです。
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顎変形症で外科矯正(保険診療)が必要
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生まれつきの欠損や歯の形態異常
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病院内の複数科と連携が必要
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全身疾患があり、歯科・医科連携が必須
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他院で「難症例」と判断されたケース
特に顎変形症の外科矯正は保険適用になるため、大学病院を選択される方が多いです。
その他にも矯正治療が適用になるケースはこのような場合です。
2|大学病院の費用は本当に安い?相場で比較
実は、大学病院の矯正費用は「安い」というイメージとは異なり、民間より高いケースもあります。
▼大学病院の一般的な費用相場
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初診・検査:1〜5万円
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1期治療:20〜40万円
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成人矯正(全顎):70〜120万円
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毎回の調整料:3,000〜6,000円
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保定装置:3〜8万円
外科矯正の場合は保険適用になりますが、通常矯正は自費診療です。広島大学は相談に行ってからの提示になるようですが、
岡山大学の費用はこちらです。どちらも保険が適用される場合の矯正治療費用の説明はHP上にはありませんでした。
一般的な話ではありますが、大学病院では装置ごとに費用がかかるケースが多いです。
3|大学病院のメリット
① 専門家(矯正・口腔外科・補綴)が多数
高度な医療連携が必要なケースも安心。
② 外科矯正の症例数が多い
顎変形症の患者が集まりやすい。
③ 全身疾患がある方にも対応可能
院内に内科をはじめとした各診療科があるため、例えば全身麻酔を用いた処置も可能です。
4|大学病院のデメリット
① 費用は安いわけではない
人件費・運営コストが高いため民間の鹿より高いこともありますが、一概には言えないのでそれぞれ費用を比較してみてください。
② 予約が取りづらい
基本的に民間の歯科よりDXが進んでいるということはなく、予約も取りづらいこともあります。
③ 待ち時間が長い
1〜2時間待つケースも珍しくありません。
④ 担当医が変わる
大学院生が治療にあたることもあります。
5|では、民間の矯正専門医院はどう違うのか?
福山市の 河底歯科・矯正歯科を例に説明します。
当院の強み(大学病院と比較)
● 日本矯正歯科学会認定医が2名在籍
矯正専門性が高く、大学病院と同レベルの診断が可能。治療経験が長い歯科医師が担当し、当院は矯正歯科医が3名いますので
カンファレンスにより治療方針を常に複数のドクターでチェックします。
→ 院内紹介ページ
● 日本口腔外科学会専門医が在籍
抜歯・口腔外科処置も院内で完結。広島大学口腔外科より週に1回大学病院レベルの難しい抜歯もできるドクターが来ています。
● DX化で待ち時間がほぼゼロ
診察券アプリ・自動会計・電子カルテで効率化。
→ 設備紹介ページ
● 料金は総額制(調整料なし)
費用が明確で安心。
→ 矯正料金ページ
● チーム矯正ドクターでカンファレンス
複数ドクターで一人の患者様の治療方針を精密検討。
顎変形症の保険適用条件と具体的な手続きの流れ
保険適用条件
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顎変形症は、上下顎や顔面の骨格的なズレ(上顎前突・下顎前突・骨格性開咬・顎骨非対称・顔面非対称等)が認められ、噛み合わせの異常や機能障害が生じる重症例。
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症状が厚生労働大臣指定の「顎変形症」の範囲にあること(顔面非対称・骨格性上顎/下顎前突症など)。
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保険医療機関であり「顎口腔機能診断施設」の基準を満たしている病院・クリニックで受診すること。(当院はこの基準を満たした施設ではありません)。
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原則として、外科手術(顎の骨切り手術など)と連携した矯正歯科治療がセットで必要。矯正治療と外科手術の両方が保険適用となり、混合診療(自費と保険の併用)は認められていません。
大学病院での外科矯正の手続き流れ
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初診・カウンセリング
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顎変形症が疑われる場合、矯正歯科・口腔外科などの顎口腔機能診断施設を受診します。地域の歯科医院から紹介状をもらって大学病院へ行く流れも一般的です。
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精密検査・診断
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顔面・口腔内写真、歯の型取り、レントゲン・CT撮影など精密検査を行い、「顎変形症」と診断されると保険診療で治療計画が立てられます。
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治療計画書の作成・説明
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保険医療機関間で連携し、手術と矯正治療を担当する施設が共同で治療計画書を作成。診断結果と治療方針について患者さんへ説明があります。
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術前矯正治療(約1~2年)
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噛み合わせや歯並びを手術に適した状態に整える「術前矯正」を保険適用で実施します。
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外科手術(顎骨切り・移動)
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大学病院・専門施設で顎骨の手術を受けます。一定期間入院が必要です。
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術後矯正治療(約1~1.5年)
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顎の骨が安定した後、最終的な歯並びを仕上げる術後矯正治療を行います。
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経過観察・保定治療
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保定装置(リテーナー)を利用し、歯並びの安定を図ります。
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医療費請求・支払い・公的書類整備
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保険証、診断書、治療計画書など必要書類を用意し、通常通り保険診療で会計となります。治療期間は約3年〜4年程度かかります。
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ポイント・注意点
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顎口腔機能診断施設でしか保険適用にならないため、事前に病院の基準や診療実績を必ず確認しましょう。
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治療期間が長く、定期的な通院と協力が必要です。
顎変形症の保険診療を希望する場合は、まず地域のかかりつけ医や歯科医院で相談し、適応・施設・手続きなどの詳細を確認すると手続きがスムーズです。
筆者プロフィール:河底晴紀(歯学博士/日本矯正歯科学会認定医)
この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。
◾️資格
・歯学博士
・日本矯正歯科学会認定医
◾️所属
・日本臨床歯科学会
・K-Project
・FCDC
・MID-G
・福山市歯科医師会 理事





