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【歯科医師が解説】膿栓(臭い玉)の安全な取り方|ためしてガッテン流うがいで本当に取れる?

河底晴紀院長

【監修者】
河底晴紀(かわそこ せいき)
河底歯科・矯正歯科 院長/歯学博士/日本矯正歯科学会認定医
大阪歯科大学卒業後、広島大学大学院歯学研究科(歯科矯正学)博士課程修了。2010年より現職。
「何かの拍子に口から白い小さな塊が出てきた……これって何?」
「喉に違和感があって鏡で見たら白いつぶつぶが見える。なんか臭い……」
「ためしてガッテン流の安全な取り方ってどうするの?」

そんな疑問から検索してこの記事にたどり着いた方、多いのではないでしょうか。ためしてガッテン(NHK)で膿栓が取り上げられたのは2014年のことです。しかし放送以降、「ためしてガッテン流の安全な取り方」というキーワードがひとり歩きしてネット上に広まり、今も多くの方が検索しています。

この記事では、歯科医師の立場から膿栓の正体・安全な対処法・絶対やってはいけないNG行為・根本的な予防策まで、正確な情報をお伝えします。「検索して出てきた方法が本当に安全なのか?」判断の基準にしてください。

膿栓(臭い玉)の正体とは

まず基本から整理しましょう。

膿栓とは、喉の入り口にある扁桃(へんとう)というリンパ組織にできた、白〜淡黄色の小さな塊のことです。「臭い玉」という呼び名は、潰すと卵が腐ったような強烈な臭いを放つことから広まりました。

扁桃の表面には陰窩(いんか)と呼ばれる無数の小さなくぼみがあります。このくぼみは外から入ってきた細菌やウイルスを捕らえてリンパ球で撃退する、いわば免疫の最前線の役割を担っています。

たとえ話

膿栓は、扁桃が細菌やウイルスと戦った「戦いの後」です。死滅した細菌・ウイルスの残骸、食べかす、剥がれ落ちた粘膜細胞、カルシウムなどのミネラルが混ざり合って固まったもの。電子顕微鏡で観察すると、1ミリ四方に1〜2億個の細菌の死骸が密集しているとされています。

膿栓は免疫が正常に働いている証拠でもあります。少量であれば病的なものではなく、くしゃみや咳、食事中に自然と剥がれることも多く、飲み込んでしまっても体への害はないとされています。

ためしてガッテンで実際に紹介されたのはどんな内容?

2014年10月22日放送の「ためしてガッテン」(NHK総合)では、膿栓(臭い玉)が特集されました。番組の主な内容は以下の通りです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  • 膿栓の正体を電子顕微鏡で観察・解説
  • 膿栓が頻繁に大量に出る場合は、IgA腎症や掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)など免疫系の病気との関連がある可能性を指摘
  • 扁桃の過剰な免疫反応が全身の病気につながるメカニズムを解説
  • 治療の選択肢として、薬による治療・扁桃摘出手術を紹介
📺 番組の本質はここにあった

番組の本質は「膿栓を手軽に取る方法の紹介」ではなく、「繰り返す膿栓は体のSOSかもしれない」という医療的な警告でした。番組内では家庭でできる除去テクニックは特段紹介されておらず、うがいや耳鼻科受診の重要性が伝えられています。

「ためしてガッテン流の取り方」という情報がネットに広まっていますが、番組が推奨したのは「粘膜を傷つけない優しいアプローチ」という方向性であり、特定の除去テクニックを積極的に推したわけではありません。

安全な取り方・対処法

番組の精神でもある「粘膜を傷つけない優しいアプローチ」をベースに、実際に行っても安全な方法を紹介します。

✅ 方法① ガラガラうがい(最も推奨)

膿栓の対処として最も安全で効果的なのが、ガラガラうがいです。声を出しながらうがいをするのがポイントです。声の振動が喉全体に伝わり、陰窩に挟まった膿栓が揺れ動いて外れやすくなります。

  • 1水またはぬるま湯を口に含む
  • 2上を向き、喉の奥(扁桃のあたり)まで水が届くようにする
  • 3「あー」と声を出しながら15秒ほどガラガラとうがいをする
  • 4水を吐き出す
  • 52〜3回繰り返す(1日2〜3回が目安)

※強く長時間繰り返すと喉の粘膜を痛める可能性があるため、やりすぎに注意してください。

✅ 方法② 温かい塩水うがい

ぬるめの塩水(水200mlに塩小さじ1/4程度)でうがいをする方法です。塩水のわずかな浸透圧と温度の効果で、固くなった膿栓が柔らかくなり剥がれやすくなります。また塩の殺菌作用で口腔内の細菌バランスを整える効果も期待できます。

水の温度は体温より少し温かい程度(40℃前後)が理想です。熱すぎると粘膜を傷つけてしまうため、沸騰直後のお湯は避けてください。

✅ 方法③ こまめな水分補給で喉を乾燥させない

膿栓ができやすい環境は「乾燥した喉」です。唾液が少ないと扁桃の陰窩に食べかすや細菌が固着しやすくなります。日中こまめに水を飲む習慣をつけることで、自然と膿栓が流れやすくなります。特に就寝前と起床後の水分補給が効果的です。

絶対にやってはいけないNG行為

ネットやSNSでは「こんな方法で取れた!」という体験談が多く出回っています。しかし、中には喉を深刻に傷つけるリスクのある方法も含まれています。以下の行為は絶対にやめてください。

❌ 綿棒・ピンセットで直接突く・押し出す

最も多くの人が試みる方法ですが、同時に最も危険な方法です。扁桃の粘膜は非常に柔らかく出血しやすい組織です。膿栓が取れる前に粘膜を傷つけて出血・炎症を起こすリスクがあります。また、うまく押せたとしても膿栓がさらに奥の陰窩へ押し込まれてしまい、取り出せなくなることもあります。

❌ 指で喉の奥を強く押す

爪による傷、皮膚の細菌が傷口から入ることによる二次感染のリスクがあります。扁桃を傷つけて扁桃炎が悪化すると、高熱・扁桃周囲膿瘍に発展する可能性があり、入院が必要になるケースもあります。

❌ シャワーや洗浄器で強い水圧をあてる

「浴室で喉にシャワーをあてたら取れた」という体験談もありますが、水圧の調整を誤ると粘膜を傷つけます。扁桃専用の洗浄器でも、角度や圧力を誤れば同様のリスクがあります。

❌ 割り箸・つまようじなどの先端が鋭いものを使う

粘膜の裂傷、出血、感染のリスクがあります。絶対にやめてください。

「取ろうとする」より「できにくくする」が正解

膿栓のケアで最も大切なのは、実は「取り方」よりも「できにくくする体づくり」です。膿栓が繰り返しできる場合、除去することだけに注力しても根本的な解決にはなりません。

  • 👃
    ① 口呼吸をやめて鼻呼吸を意識する

    口呼吸は喉の乾燥・細菌増殖・膿栓形成の大きな要因です。就寝中の口呼吸は鼻炎・副鼻腔炎・顎の筋肉の問題が背景にある場合があります。鼻呼吸が難しい方は、耳鼻科や歯科で原因を調べてもらうことをおすすめします。

  • 🦷
    ② 口腔内を清潔に保つ

    口の中の細菌の量が多いほど、膿栓の材料も増えます。毎食後の丁寧な歯磨き・フロスや歯間ブラシの活用・定期的な歯科クリーニングで口腔内の細菌数を減らすことが、膿栓の予防に直結します。

  • 😴
    ③ 免疫力を整える生活習慣

    扁桃は免疫器官であり、免疫機能が乱れると膿栓の量も変化します。睡眠不足・栄養の偏り・過度なストレスは免疫バランスを崩し、扁桃の過剰反応につながることがあります。規則正しい生活・バランスのよい食事・十分な睡眠を意識しましょう。

  • 💧
    ④ 加湿で喉の乾燥を防ぐ

    冬や乾燥した季節は特に、室内の加湿が効果的です。湿度は50〜60%を目安に保つと、喉の粘膜が潤い、膿栓が固着しにくくなります。

こんな症状があれば必ず受診を

膿栓は多くの場合、自然に排出される無害なものです。しかし以下のような状態が続く場合は、別の疾患が隠れている可能性があるため、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。

  • 膿栓が繰り返し大量にできる
  • 喉の痛み・発熱・リンパ節の腫れを伴う
  • 膿栓を取ろうとして出血した・喉を傷つけた
  • 扁桃炎を年に何度も繰り返している
  • 手足に原因不明の湿疹や膿疱がある(掌蹠膿疱症の可能性)
  • 尿の色が茶色っぽく濁ることがある(IgA腎症の可能性)
⚠️ ためしてガッテンでも警告されていたこと

特に最後の2つは、ためしてガッテンでも取り上げられた「膿栓の多発と全身疾患の関連」です。扁桃の過剰な免疫反応が体の別の部位に炎症を引き起こすケースがあり、扁桃摘出術によって症状が改善するケースも報告されています。自己判断せず、専門医に相談することが重要です。

歯科でできる口腔内ケアとの関連

膿栓自体は耳鼻咽喉科の領域ですが、口腔内の環境——特に歯垢・歯石・口腔内細菌の量——は膿栓のできやすさに深く関わっています。

歯磨きが不十分だと口の中に細菌が増殖し、それが喉の扁桃まで流れ込んで膿栓の材料が増えます。定期的な歯科クリーニングによって口腔内の細菌数を減らすことは、膿栓の予防にも間接的につながります。

「膿栓が気になって歯医者に相談するのはどうなのだろう?」と思われる方もいるかもしれませんが、口臭・口腔内細菌・口呼吸など、膿栓に関係する要因については歯科でも相談いただけます。気になることがあれば遠慮なくご相談ください。

まとめ

  • 膿栓(臭い玉)は扁桃の免疫活動の副産物で、少量なら正常なもの
  • ためしてガッテンの本質は「取り方の紹介」ではなく「繰り返す膿栓は病気のサインかも」という医療的な警告
  • 安全な対処法は声を出しながらのガラガラうがいと温かい塩水うがい
  • 綿棒・ピンセット・指での直接操作は出血・二次感染・悪化のリスクがあり厳禁
  • 「取る」より「できにくくする」ことが根本的な解決策
  • 膿栓が頻繁・大量にできる、全身症状を伴うなら耳鼻科へ

喉の違和感・口臭が気になる方へ

「膿栓が繰り返しできる」「口臭が気になる」——そういったお悩みは、口腔内のケアから改善できることも多くあります。定期的な歯科クリーニング・口呼吸の改善・口腔内環境の整備が、膿栓の予防にもつながります。

「まず話を聞いてもらいたい」という方も大歓迎です。ぜひ一度ご相談ください。

河底歯科・矯正歯科

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河底晴紀院長

【監修者】
河底晴紀(かわそこ せいき)
河底歯科・矯正歯科 院長/歯学博士/日本矯正歯科学会認定医
大阪歯科大学卒業後、広島大学大学院歯学研究科(歯科矯正学)博士課程修了。2010年より現職。矯正・一般歯科・インプラントを含む総合歯科診療を実践。口腔内環境と全身の健康の関わりを重視した診療を続けている。
所属:日本矯正歯科学会・日本臨床歯科学会・MID-G・広島県歯科医師会・福山市歯科医師会 理事

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