あなたのお子様は大丈夫ですか?お口ぽかん②

今日は前回と引き続きお口が開いている子についてや予防法についてをお話ししたいと思います。

お口がぽかーんと開いてしまうのを防ぐためにどんなことに気を付けなければならなのか。

まずは食事の際の姿勢についてです。

家族みんなで食卓を囲む際のテーブルやイスはお子さんに合っていますか?

大人に合わせたもので子供の足はフラフラ浮いている。なんてことはないでしょうか?

小さいときは子供用のイスを使っていても成長とともに子ども自身がお父さんお母さんと同じようなイスが良いということもあるかもしれません。

しかし、正しい姿勢は口腔機能の発達にも大きく関わっています。

両足はしっかり床につき、首は前や後ろに傾いたりせず、まっすぐ伸びた姿勢が良いでしょう。

また、食事の途中でお茶や水など水分を与えるのもあまりよくありません。

これは、食べ物をあまり咬まずに水分で流し込んだりしないようにするためです。

食べ物を口に入れたら奥歯でよく噛み、飲み込むまでは口を開けないようにするのが良いでしょう。

お口ぽかーんの子は口呼吸のしているので食事中も口で息をするために口を開けるんです。

そうするとクチャクチャと音がたったりするのを気にする保護者さんもいらっしゃいます。

飲み込むまで口を開けないようにという約束をするとその間は鼻で呼吸するようにもなるため鼻呼吸の練習にもなるでしょう。

また食事シーンで注意しなければならないのはストローです。

口腔機能の発達のためにはストロー飲みは必要ありません。

むしろストローで飲もうとすると乳児嚥下が持続してしまい、成人嚥下を学習する機会が減ってしまうのです。

そして、離乳食期に大切なのは内舌筋という舌の筋肉を鍛え、飲み込むときの圧(嚥下圧)を上げることです。

これは捕食したり、コップから飲もうとすることで培われていきます。

いきなりストロー飲みからコップで飲もうとするとこぼしてしまったり難しいかもしれません。

まずはスプーンで啜って飲むような練習から始めるのが良いかもしれません。

そして口腔機能の発達には体幹を鍛えることも大切です。

小さい子が遊びながら体幹を鍛えるのには風船を使ったものをおすすめします。

風船をポンポーンと真っすぐ上にあげるのです。ただし手首だけではまっすぐ上がりません。

両足をしっかりと地面に付けて、膝を曲げたりしながら体全体を使って遊びます。

こうすることによって遊びながら体幹を鍛えることができます。

小さい子にいろんなことを強制することは難しいかもしれません。

しかし小さい頃からの癖を大きくなってから治すのはとても大変です。

小さい頃から少しずつ悪い癖にならないように導いてあげることが大切でしょう。

あなたのお子様は大丈夫ですか?お口ぽかん①

最近、子供さんでお口があいている子が増えているように思います。

環境の変化のせいでしょうか、花粉症やアレルギーの子、鼻炎の子が増えており鼻がつまっている子が多く口呼吸になっている状態です。診療するときも鼻がつまっているかなど確認して行っています。鼻がつまって口呼吸になっている場合と、口腔周囲筋の未発達によりお口が閉じにくいこともあります。今日は赤ちゃんのときから口の周りの筋肉をつけて将来鼻呼吸がしっかりできるようになるための習慣についてお話したいと思います。

生まれてから赤ちゃんは母乳をのみます。母乳が出にくいお母さんもいると思います。この場合は哺乳瓶を使ってミルクを飲みます。

 

 

 

 

哺乳瓶の乳首は柔らかい物だと少しの力でミルクを飲むことができてしまいます。

そのため口の周りの筋肉の発達が未熟になり口が開いて口呼吸になってしまうと考えられます。赤ちゃんの唇の力を鍛えるためにも硬めの乳首を使用するのをお勧めいたします。また、卒乳を急ぐのは口呼吸の原因になる可能性もあります。

母乳、ミルクを飲んでいる赤ちゃんは鼻呼吸をしています。飲みながら鼻で息をしています。授乳の時期に口の周りの筋肉をしっかり鍛えることは口呼吸の防止になります。

早く離乳食に移行すると鼻呼吸の習慣、口周りの筋肉の発達が未熟なため口呼吸になってしまうリスクがあると考えられます。

離乳食が始まって少し時間がたつと赤ちゃんは自分で食べたいという意思が出てきます。

目で見て食べ物と認識し、つかんで口に運びます。簡単に思えるこの動作は自分の口に入る量や口に運び唇の力も使い舌の使い方も学んでいるのです。

自分で上手に手づかみ食べできるようになるとスプーンやフォークで食べるのがうまくなります。

ここからは離乳食のスプーンと姿勢について書きます。

離乳食開始時期には赤ちゃんはまだ自分では食べることができないのでスプーンで食べさせてあげないといけません。

 

スプーンは柄が長くある程度の深さがあり口に入りやすい小さいものがよいと思います。先は細いものが口に入りやすいと思います。

赤ちゃんが自分でスプーンを持って食べ始めたら口に入りやすい大きさの物で握りやすい物が良いと思います。食べるのに良い姿勢は始めの頃は椅子に座ってもうまく座れないと思います。抱っこやベビーラックが良いでしょう。お座りができるようになったら椅子が安定します。足底は床にしっかりつけて力が入るようにしてあげましょう。

これらのことを気を付けて鼻呼吸の基礎作りを赤ちゃんの頃からしっかりしてあげるのは健康と歯並びなどに大きく関係してくるのです。赤ちゃんの成長を楽しんで子育てを頑張ってくださいね。

お子様の歯、乳歯について

ゴールデンウィークが終わりましたね。

充実した連休になりましたか?親戚のお家へ行ったり、家族や友達と旅行へ行かれた方も多いかと思います。

そして、51日のゴールデンウィーク中には元号も変わりました。

入籍した方、出産した方も大勢いらっしゃり、おめでたいニュースが沢山ありましたね。

さて今日は、出産を控えている方や出産を終えられた方、今子育て中のお父さんお母さんに是非見ていただきたい内容です。

皆さんは、このような経験はありませんか?

永久歯が生えるのが遅い!

虫歯になって早く歯を抜くことになってしまった!

永久歯が生えてこない!といったお母さんからの声を今までいくつも聞いてきました。

特にお子さんのいる方は気になるところではないでしょうか。

人の歯はご存じのとおり乳歯と永久歯の2種類あります。

乳歯はそれぞれ20本、永久歯は28本(親知らず入れると32本)生えています。

平均生後8か月頃から乳歯が生え始めてきて、2歳半頃で乳歯が生えそろってきます。

永久歯は6歳頃に下の前歯あるいは6歳臼歯が生えてきます。

12歳頃には6歳臼歯の後ろに12歳臼歯が生えて、28本の永久歯が完成します。

乳歯のABCDEに対して永久歯の12345が生えてきます。

これが正しい永久歯列になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、萌出困難歯(ほうしゅつこんなんし)といって、例えば永久歯が生えてくる前に虫歯が原因で乳歯を抜いてしまうと歯の周りが動いてしまうので、本来生えてくる永久歯が正しい位置に生えてくることができないことがあります。

虫歯が進行して、根っこの下に膿がたまってしまうと、永久歯が生えてこられなくなったり、膿をよけて歯の出てくる方向が違う向きに出てきたりすることもあり、むし歯で乳歯が抜けるとその空間を埋めるように永久歯が生え、歯並びにも影響が出てきます。

また、萌出経路に過剰歯(通常の歯の本数よりも多く形成された歯)や歯牙腫(歯の形成以上のために生じる良性の腫瘍)などの障害物があるときや局所的なものとして、歯茎が腫れて厚くなっていたり、位置の異常や形成の異常などで歯が生えてくるのが遅くなることがあります。位置の異常に関してはやはり、顎の成長が少なくなってきているのが原因だと思われますので、今後も増えていく傾向があると思います。

 

 

 

 

 

 

なかなか生えてこない場合の治療方法としては、レントゲンを撮って永久歯の位置や歯の根っこの状態を確認します。

きちんと生えそうな位置や向きであれば、経過観察をしていきます。

特に歯茎が腫れて厚くなっていて、歯が出てくるのが難しそうな場合は、麻酔をして切開します。当院では麻酔もいつしたかわからない程度のものですし、切開も麻酔下で行うのでご安心ください。

また、ほとんど萌出力が期待できない場合は、牽引処置をすることがあります。牽引処置は矯正治療になります。

乳歯は永久歯が正しい位置に生えてくるためにとても重要な役割があります。

乳歯に対してむし歯になってもどうせ抜ける歯だからと思うのはやめてください。乳歯は適切な時期まで役割を果たしてその時期がきたら自然と抜けるものです。むし歯になり無意識に痛みを避けるように噛み合わせが乱れたり、安易に早すぎる時期に抜いてしまうのはよくないです。初めて乳歯が生えた時の感動を思い出してしっかり仕上げ磨きもしてあげてくださいね。

よく噛んで食べることの効果〜今日から使おう噛める食材

ハンバーガー、ケーキ、ドーナツ。町を歩けば柔らかくて美味しい食べ物がたくさんあふれています。現代人は昔の人より柔らかい食べ物を多く摂取しているので噛む回数がとても少ないです。弥生時代の1回の食事で噛む回数は約4000回で食事の時間は約51分だったのに対し、江戸時代には1500回になり、現代は620回約11分と大幅に噛むことが減っていることが数値から見えてきます。

噛むことは顎の発達を促進させます。永久歯が生えてくるスペースがないと永久歯同士が重なって生えてしまい、歯並びに影響が出てきます。歯が重なると汚れが溜まってしまい、虫歯や歯周病になりやすいお口になってしまいます。顎の成長は成人になるにつれて緩やかになっていくので、小さい時からしっかり噛んで歯が並ぶスペースを確保することが大切になってきます。

噛むことで得られる効果は顎を鍛えることだけではありません。

 

【卑弥呼の歯がいーぜ】という言葉を聞いたことはありますか?この言葉は日本咀嚼学会の標語で、噛む事の8大効用を咀嚼回数の多かった弥生時代の卑弥呼にかけて表したものです。

「肥満防止」:よく噛むことで脳が満腹感の信号を早く発信し、早食いしたときより食べ過ぎることを防ぎます。

「味覚の発達」:多種の食べ物を食べれば味覚が発達します。

「言葉の発音」:口の周りの筋肉が発達して発音がよくなります。

「脳の発達」:口を開け閉めすることで通常よりも多くの酸素や栄養が脳に届き、脳細胞の活性化を促します。

「歯の病気予防」:噛むことにより唾液が分泌され、虫歯や歯周病を予防します。

「癌予防」:唾液の成分であるペルオキシターゼは食品中の発癌性物質を中和する働きがあると言われています。

「胃腸快調」:食品をかみ砕いてから飲み込むことで胃腸への負担が軽くなり、胃腸の働きを正常に保ちます。

「全身の体力向上」:噛みしめる力を育てることで全身に力が入り、体力や運動神経の向上、集中力を養うことに繋がります。

食べ物は噛み応えのあるものを選ぶと良いと思います。しっかり噛まないと飲み込めない食材は噛む回数を増やします。

するめ、いか、たこ、こんにゃく、ごぼう、れんこん、きのこ、ナッツ類など弾力があったり食物繊維が豊富なものがおすすめです。おやつを選ぶ時、柔らかいケーキより歯ごたえのあるせんべいの方が良いです。でも柔らかいせんべいもあるので、迷ったときは比較してどちらの方が噛む手助けをしてくれそうか選ぶと良いのではないでしょうか。お子さんと一緒にクイズを出しながら考えてみても良いかもしれませんね。

固いものばかり選ばなくても普段口に入れた食べ物を30回噛む意識を持ってみたり、食事に集中するため「ながら食べ」をやめてみると良いかもしれません。普段の調理方法でも野菜を細かく小さく刻むより大きくザク切りにすることで自然と噛む回数を増やすことに繋がっていきます。調理の手間も省けますね。是非試してみてください。

CADCAM冠について〜どんなものかご存知ですか?

虫歯が進んでいて大きく削らないといけなくなってしまうと、強度の問題などで詰め物だけで治療ができないことがあります。

そのような場合、歯の土台をつくってかぶせを入れていきます。

また、かぶせにも保険適用するものとしないものがあり、種類も豊富なので、人によってかぶせを選ぶ基準は様々です。

昔からかぶせを入れている方ですと、金属(銀歯)のかぶせを入れている方がほとんどかと思います。 最近では、審美的なことや2次虫歯のリスクのことも考え、白いかぶせ(セラミック)にしたいという方も増えてきています。

一般的に、セラミックの治療というと、自費診療というイメージがあるかと思いますが、

実は、4年前ぐらいから、保険治療で金属を使わない白い歯も選択肢のひとつとして使われるようになっています。それはいわゆる、CADCAM冠(キャドカム)というものです。

材質はプラスチック(レジン)でその中にセラミックを混ぜた素材になります。

CADとは、コンピューター支援による設計、CAMはコンピューター支援による加工・政策のことです。

お口の中に付ける、かぶせをCADCAMのシステムを用いて設計、作成するものです。

当院では歯を削った後、歯の型をとって石膏模型をし、技工所へ送ってスキャンした後、データをもとにCADCAM装置を用いて技工物をデザインし塊から削り出し作成しています。

保険適用されたころは上下の4,5番の小臼歯のみの適応でしたが、2年前からは条件付きで、上下左右とも7番(第二大臼歯)がある方のみ下顎の6番(第一大臼歯)の歯にも使えるようになりました。上顎の6番(第一大臼歯)は適用となりませんのでご注意くださいね。

今の時代はメタルフリーへと変化をしています。

しかし、自費診療のセラミックに比べれば劣る点もあります。

・いれたての時は他の歯となじんでいますが、時間が経つと変色をしてくる

・単調な色で透明感がない

・素材が弱いので摩耗しやすく耐久性はない

・プラスチックなので歯垢(プラーク)が付きやすい

・機械で作るため適合性は自費のもので技工士が作るものより劣る

・隙間から2次虫歯になりやすい

このように、どうしても自費のセラミックよりも透明度や適合性、色味など見た目に劣る部分もあります。

ですが、こだわらなければ十分な白さですし、従来の保険治療では小臼歯や大臼歯は銀歯しかかぶせられなかったのが、CADCAM冠の保険適用に伴い、保険でも白い歯が入れられるようになったことは、皆さんからするととても喜ばしいことですよね。

これまでは、高いお金を払わないと白いかぶせを入れることができなかったかと思いますが、今では保険治療の幅の広がっていることや新しい技術が取り入れられたことによって理想の白い歯を手に入れることができます。

銀歯でしか治せない・・・と諦めていた方もきっと少なくありませんよね。

今後も、国の保険制度が進展して完全なメタルフリーの時代がやってくるといいですね。

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