【矯正歯科医が解説】トム・クルーズの正中がずれているのはなぜ？子どもの頃の矯正で結果は違ったのか

日本矯正歯科学会認定医・歯学博士河底晴紀

「完璧な笑顔」と言えば、映画スターのトム・クルーズさんを思い浮かべる方も多いでしょう。

しかし、実は彼の上の前歯の真ん中（正中）が、顔の中心からずれていることにお気づきでしょうか？

これは矯正歯科の世界では非常に有名なエピソードで、

「Hollywood Smile（ハリウッドスマイル）」を体現する彼ですら、正中を完全に揃えることが難しかったことを示しています。

今回は、

◆ トム・クルーズの歯並びと「正中ずれ」の事例

トム・クルーズさんは、映画『トップガン』や『ミッション・インポッシブル』シリーズで知られる名優。

年齢を重ねても白く整った歯が印象的ですが、実はファンの間では「歯の正中がずれている」と話題になっています。

真正面から笑った写真を見ると、上の前歯の中心が顔の中心線からやや右（彼の左側）にずれているのが確認できます。

つまり、顔の正中と歯の正中が一致していないのです。

これは**「ミッドラインディスクレパンシー（Midline Discrepancy）」**と呼ばれる歯列のズレで、多くの人に見られる現象でもあります。

「正中」とは、上下の歯列それぞれの中央（真ん中）のことを指します。

理想的な歯並びでは、

見た目の対称性が美しいだけでなく、

ただし、多くの人は数mm〜1cm程度のズレを抱えており、それ自体が「異常」ではありません。

トム・クルーズさんは30代半ばで矯正治療を受けたことで知られています。

しかし、それでも正中を顔の中心に揃えることはできなかったと言われています。

成人後の矯正治療では、顎の骨の成長が止まっているため、

つまり、いかに技術力のある矯正歯科医が治療しても、骨格の制約には勝てない場合があるということです。

実は、トム・クルーズさんは子どもの頃に矯正治療を受けていなかったそうです。

（※子どもの頃は、前歯のガタガタを隠すために上唇を上げて笑っていたという逸話も）

小児矯正（Ⅰ期治療）は、顎の成長をコントロールすることができる貴重な時期です。

もしこの時期に矯正を行っていれば、

などが期待できた可能性があります。

矯正は大人になってからでも可能ですが、より理想的な歯並び・正中を目指すなら“子どものうち”がベストです。

正中を完全に顔の中心に合わせる治療は、実際には多くの制約があります。

すべてを完全に揃えるのは難しくても、

など、高い技術を持つ矯正歯科医であれば、見た目も機能も納得できる結果に近づけることは可能です。

当院では、日本矯正歯科学会認定医が、

「見た目」だけでなく「咬合機能・成長バランス」まで考えた治療を提供しています。

正中のズレや見た目にお悩みの方、ぜひ一度ご相談ください。