矯正治療を開始した場合の準備について

秋も深まり、朝晩はずいぶんと寒くなってきました。季節の変わり目ですが体調に気をつけながら、食欲の秋、スポーツの秋などいろんな秋を楽しみたいですね♪

さて、今回は大人の矯正の装置が付くまでの流れについてお話ししたいと思います。受診したらすぐに装置が付くの?と思われがちですが、実は、矯正の装置が付くまでに様々な準備が必要になります。

(小児矯正の一期治療の場合はこのような装置はまだ使いません)

  1. ゴムで歯と歯の間を空けます。

まずはセパレートという作業を行います。セパレートとは、下の画像のように歯と歯の間にゴムを入れ、ゴムの伸縮性を利用して歯と歯の間に隙間を作る作業です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セパレートの段階から歯を動かすことになるので、個人差もありますが歯の痛みも出てきます。しかし次のステップに進むための大事な作業なので、頑張ってクリアしていきましょう。

    2.自分の歯に合ったバンドを探していきます。

バンドとは、奥歯に付ける輪状の金属のことです。歯に指輪をしたような状態で歯の周囲を覆うので、奥歯で矯正装置を完全に固定することができ、矯正装置が外れにくくなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.セパレートで空けた歯と歯の隙間を使ってこのバンドをつけることになります。

歯の大きさは人それぞれなので、その人の歯にあったバンドのサイズを探していきます。これをバンド試適といいます。詰め物が入っている歯や、複雑な形の歯、歯と歯の間が狭くセパレートの効果が出にくいタイプの歯の持ち主の方は、バンドを合わせる作業に手間取ることがあります。また、なるべく痛みのない状態で、バンドを合わせたいので、セパレートにきていただいて歯型を採り、バンドを合わせて装置を作ります。

装置のために歯型を採り、石膏を流して模型にします。この、お口の中を再現した模型をもとに院内で装置を作っていきます。石膏が固まり、模型ができたら、試適して合わせたバンドを付けて、ワイヤー(針金)を曲げていきます。次に熱した金属を溶かし、曲げたワイヤーとバンドを接着させます。最後に、模型から外してキレイに研磨します。これで装置は完成です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、これでやっと準備は完了です。装置をセットするお約束の少し前に、再度セパレートを入れた後、ついに装置が入ります。

このように、装置が付くまでには少なくとも5~6回お越しいただいて、準備が必要になります。お口に合った装置を作るために、細かい調整をすることが大切なんですね~!

不安なことや疑問がありましたら遠慮なくお話してください。キレイな歯並びを目指して一緒に頑張りましょう(^^)

矯正治療の後戻りと保定装置について

こんにちは。トリートメントコーディネーターの重森です。

蒸し暑くなってきましたね。

1年もあっという間に半分を過ぎました。

早いですね~!!

1年の折り返し地点にきて、私はやっと年初めに立てた目標の1つである、

「ダイエット」に取り組み始めました・・・(遅いですけどね)

ここ1ヶ月間、ほぼ毎日、2時間近くのウォーキングを続けた結果・・・

1ヶ月で3.7kgの減量に成功!!(食事管理もしながら)

・・・ただ、ここで喜んでばかりではいけません・・・

今まで何度も繰り返してきたリバウンド・・・

だいぶふくよかな私はまだ目標体重には到達していませんし、

「後戻り」しないためにも、今後も運動と食事の管理をしっかりと続けていくつもりです!

さてさて、ダイエットにリバウンドは大敵ですが、

歯にも「後戻り」があることをご存じですか?

今回は「矯正治療の後戻りと保定装置」についてお話ししたいと思います。

【歯の後戻りとは・・・】

歯の後戻りとは、歯列矯正治療によって改善した歯並びが、元の悪い状態に戻ってしまうことを言います。

装置を付けて歯を動かし、歯並びを改善していく歯列矯正治療ですが、

治療終了直後の歯はかなり動揺しています。

これは、歯の周囲の骨や歯肉などの組織がまだ歯をしっかりと取り巻いていないからです。

この状態で放置してしまうと、歯は動き、元の悪い歯並びに戻ってしまいます。

また、舌の癖、生活習慣(うつ伏せ寝や頬杖など)でも歯並びは悪化します。

その為、歯並びが改善し矯正治療の装置を取り外した後に、改善した歯並びの状態で固定させるよう保定装置を取り付けます。

【保定装置について】

歯を固定させる保定装置にはいくつかの種類がありますが、

当院で主に使用しているのは、以下の2種類です。

歯の裏側に直接つける固定タイプ

 

 

 

 

 

 矯正治療終了後、歯型を取り、その歯型に合わせて細いワイヤーで形を作ります。

 この保定装置は主に上下の前歯部~小臼歯の裏側に、専用の接着剤で直接つけます。

 付けるとご自身では取り外しはできない固定タイプです。

 歯に直接付けており、食べかすが残りやすいのでそれを意識しながら、

丁寧に歯磨きをしてください。

就寝時にのみつける取り外しタイプ

 

 

 

 

こちらの保定装置も、歯型を取り、そこから作ったものです。

 薄いプラスチック素材で、夜寝るときに付け朝起きたら外す、取り外し可能なものです。

 日中は外して、専用ケースで保管をします。

 夜付ける前には必ず歯磨きをしましょう。

 装置のお手入れには専用の洗浄剤がありますので、そちらを使用します。

当院では以上の2種類の保定装置を同時に使って頂いています。

保定装置を付けておく期間については、歯科医によって意見が異なりますが、

当院の院長の考えでは「できるだけ長い間」つけて頂くことをおすすめしています

保定装置を付けていないと、歯はフリーの状態になり後戻りをする可能性が高くなります。

歯に直接つける固定タイプは、歯の裏側につけるので目立たないですし、

取り外しタイプも就寝時のみの使用なので、ぜひとも出来るだけ長い期間、着けていただくことをおすすめします。

【矯正治療終了後もメンテナンスにお越しください】

保定装置が取れていないかチェックのためにも、

矯正治療後、メンテナンスにお越しください。

当院では3ヶ月に1度のメンテナンスをおすすめしています。

保定装置のチェックはもちろん、むし歯、歯周病のチェック、歯垢歯石の除去をおこないます。

キレイになった歯並びを長持ちさせるためには定期的なメンテナンスはかかせません。

お金も時間もかけて治した歯並び、しっかりと管理をして維持していきましょう!

あなたのお子様は大丈夫ですか?お口ぽかん②

今日は前回と引き続きお口が開いている子についてや予防法についてをお話ししたいと思います。

お口がぽかーんと開いてしまうのを防ぐためにどんなことに気を付けなければならなのか。

まずは食事の際の姿勢についてです。

家族みんなで食卓を囲む際のテーブルやイスはお子さんに合っていますか?

大人に合わせたもので子供の足はフラフラ浮いている。なんてことはないでしょうか?

小さいときは子供用のイスを使っていても成長とともに子ども自身がお父さんお母さんと同じようなイスが良いということもあるかもしれません。

しかし、正しい姿勢は口腔機能の発達にも大きく関わっています。

両足はしっかり床につき、首は前や後ろに傾いたりせず、まっすぐ伸びた姿勢が良いでしょう。

また、食事の途中でお茶や水など水分を与えるのもあまりよくありません。

これは、食べ物をあまり咬まずに水分で流し込んだりしないようにするためです。

食べ物を口に入れたら奥歯でよく噛み、飲み込むまでは口を開けないようにするのが良いでしょう。

お口ぽかーんの子は口呼吸のしているので食事中も口で息をするために口を開けるんです。

そうするとクチャクチャと音がたったりするのを気にする保護者さんもいらっしゃいます。

飲み込むまで口を開けないようにという約束をするとその間は鼻で呼吸するようにもなるため鼻呼吸の練習にもなるでしょう。

また食事シーンで注意しなければならないのはストローです。

口腔機能の発達のためにはストロー飲みは必要ありません。

むしろストローで飲もうとすると乳児嚥下が持続してしまい、成人嚥下を学習する機会が減ってしまうのです。

そして、離乳食期に大切なのは内舌筋という舌の筋肉を鍛え、飲み込むときの圧(嚥下圧)を上げることです。

これは捕食したり、コップから飲もうとすることで培われていきます。

いきなりストロー飲みからコップで飲もうとするとこぼしてしまったり難しいかもしれません。

まずはスプーンで啜って飲むような練習から始めるのが良いかもしれません。

そして口腔機能の発達には体幹を鍛えることも大切です。

小さい子が遊びながら体幹を鍛えるのには風船を使ったものをおすすめします。

風船をポンポーンと真っすぐ上にあげるのです。ただし手首だけではまっすぐ上がりません。

両足をしっかりと地面に付けて、膝を曲げたりしながら体全体を使って遊びます。

こうすることによって遊びながら体幹を鍛えることができます。

小さい子にいろんなことを強制することは難しいかもしれません。

しかし小さい頃からの癖を大きくなってから治すのはとても大変です。

小さい頃から少しずつ悪い癖にならないように導いてあげることが大切でしょう。

あなたのお子様は大丈夫ですか?お口ぽかん①

最近、子供さんでお口があいている子が増えているように思います。

環境の変化のせいでしょうか、花粉症やアレルギーの子、鼻炎の子が増えており鼻がつまっている子が多く口呼吸になっている状態です。診療するときも鼻がつまっているかなど確認して行っています。鼻がつまって口呼吸になっている場合と、口腔周囲筋の未発達によりお口が閉じにくいこともあります。今日は赤ちゃんのときから口の周りの筋肉をつけて将来鼻呼吸がしっかりできるようになるための習慣についてお話したいと思います。

生まれてから赤ちゃんは母乳をのみます。母乳が出にくいお母さんもいると思います。この場合は哺乳瓶を使ってミルクを飲みます。

 

 

 

 

哺乳瓶の乳首は柔らかい物だと少しの力でミルクを飲むことができてしまいます。

そのため口の周りの筋肉の発達が未熟になり口が開いて口呼吸になってしまうと考えられます。赤ちゃんの唇の力を鍛えるためにも硬めの乳首を使用するのをお勧めいたします。また、卒乳を急ぐのは口呼吸の原因になる可能性もあります。

母乳、ミルクを飲んでいる赤ちゃんは鼻呼吸をしています。飲みながら鼻で息をしています。授乳の時期に口の周りの筋肉をしっかり鍛えることは口呼吸の防止になります。

早く離乳食に移行すると鼻呼吸の習慣、口周りの筋肉の発達が未熟なため口呼吸になってしまうリスクがあると考えられます。

離乳食が始まって少し時間がたつと赤ちゃんは自分で食べたいという意思が出てきます。

目で見て食べ物と認識し、つかんで口に運びます。簡単に思えるこの動作は自分の口に入る量や口に運び唇の力も使い舌の使い方も学んでいるのです。

自分で上手に手づかみ食べできるようになるとスプーンやフォークで食べるのがうまくなります。

ここからは離乳食のスプーンと姿勢について書きます。

離乳食開始時期には赤ちゃんはまだ自分では食べることができないのでスプーンで食べさせてあげないといけません。

 

スプーンは柄が長くある程度の深さがあり口に入りやすい小さいものがよいと思います。先は細いものが口に入りやすいと思います。

赤ちゃんが自分でスプーンを持って食べ始めたら口に入りやすい大きさの物で握りやすい物が良いと思います。食べるのに良い姿勢は始めの頃は椅子に座ってもうまく座れないと思います。抱っこやベビーラックが良いでしょう。お座りができるようになったら椅子が安定します。足底は床にしっかりつけて力が入るようにしてあげましょう。

これらのことを気を付けて鼻呼吸の基礎作りを赤ちゃんの頃からしっかりしてあげるのは健康と歯並びなどに大きく関係してくるのです。赤ちゃんの成長を楽しんで子育てを頑張ってくださいね。

セミナー参加報告〜MFTとは?

事務局の河底です。先日、広島大学矯正学教室にMFTでご高名な高橋先生が来られ、「チーム矯正」で講義を受けて参りました。

MFTとは口腔筋機能療法をいいます。

MFTを行うことで正しく筋肉が機能するようになり、不正咬合(受け口や出っ歯など)の原因となる舌癖(ぜつへき)の改善・予防や、口呼吸の改善を行うことができます。

今回はクイズ形式です。

1.お口をポカーンとあけていることがありますか?

(いつも・時々・いいえ)

2.舌はいつもどの位置にありますか?

(上顎にある・いつも前に出ていて唇にふれている・上下の歯の間にある・下顎にある)

3.どのような食べ方をしていますか?

(口を開けて食べている・噛んでいない・食べこぼしが多い・一度にたくさん頬張る・食べながら水分をよくとる・飲み込む時に頰や口に必要以上に力が入る・飲み込む時に舌が前につきでる・食べ方が極端に遅かったり早かったりする)

いかがでしたでしょうか?

1の正しい答えは、いいえです。いつもまたは時々お口をあけているということは、鼻がつまっており耳鼻科での治療が必要な場合または、鼻がつまっていないのであれば口輪筋の筋力不足が考えられます。

 

2の正しい答えは上顎にある、です。それ以外にチェックがついた方は、正しい位置に舌がないので歯並びに悪い影響が出ます。

 

3は、チェックが多ければ多いほど正しい咀嚼と嚥下(飲み込み)ができていないことになります。

歯ならびに悪い影響を与えない正しい飲みこみ方は、口を閉じて舌を上あごにつけ、奥歯をかみしめ、のどを使って飲みこみます。

舌癖のある人は、舌が歯を押していて、飲みこむときにはさらに押し出す強い力が歯に加わります。また、舌癖のある人はいつも口を開けていることが多いため、舌が歯を内側から押す力に対して、外側から歯を押さえる唇やほほの筋肉に力がありません。
そのため、出っ歯になったり、歯と歯の間にすき間が開いたり、上下の歯がかみ合わない歯ならびになることがあります。

こういう方は、大臼歯で咬めていないので唾液が分泌されず口が乾き、食事中にお茶を流し込むように飲んだり、口が開いたまま食べている人は

水分量の多いりんごなどを食べた時に口の横から水分が出たり、食べこぼしたりします。

当院では主に成長期にあるお子様や成人の方にもMFT(口腔筋機能療法)を行なっております。上記のチェックなどにより問題ない方には必要ないのですが、矯正治療にMFTを取り入れることによって口唇を閉じた時の美しさや矯正治療後の長期安定性が増します。癖を治さないまま、矯正治療をしても後戻りの原因になります。

ご自分がどうか、お子様がどうかぜひチェックしてみてくださいね。

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