堀ちえみさんが発症した舌癌について

事務局の河底です。

私の世代にとてもショックだった堀ちえみさんの舌癌について今日は書きたいと思います。

 

このニュースのショックは大きく、当院にもこのニュースの後、このできものは大丈夫かという患者さんが来られました。

通常は歯科医師が診ればすぐに舌癌か口内炎かはわかります。

舌癌の原因

舌癌の原因は不明ですが、飲酒や喫煙、入れ歯や歯の刺激などが原因と考えられています。
入れ歯の噛み合わせが悪い、歯が尖っている、又は欠けているなどの原因で舌に刺激を与える事で舌癌の発生に繋がることも考えられます。

舌癌の治療として、手術と放射線治療を行い、抗がん剤も併用します。リンパ節に転移がある場合には、首のリンパ節の同時切除術を行います。

口内炎とは

口内炎は、歯茎や舌などの粘膜に何らかの原因で炎症反応が出たものを言います。

口内炎には、放置しておいても自然に治癒する口内炎と、癌に移行する可能性のある口内炎があります。ただ、見た目が同じ口内炎であっても、その後悪性化するかどうかはその時点では分かりませんので、こういう口内炎だから良性、こういう口内炎だから悪性、という判断は簡単にはできません。

また、慢性的刺激を受け続けた口内炎が癌化しやすい傾向にはあります。例えば、歯並びにより、ずっと同じ場所に刺激がある、常に頬っぺたを噛んでいる、などです。口内炎だと思っていても、3週間以上治らない場合は早めに歯科を受診してみてください。

35年前に比べて舌癌発症率は3倍!

このブログにも以前書きましたが、現代人はとても顎が小さいと言われています。その原因は噛む回数が減ってきたことにあります。

1食につき弥生時代は3990回、江戸時代では1440回噛んでいたのに対し、現在は600回と言われているそうです。でも、舌は母親の胎内で作られるので、大きさは昔から変わらないわけです。

噛む回数が減っていること

顎が小さくなる

①歯並びが悪くなる

②口内が狭くなり、常に舌は歯からの刺激を受けて緊張している

噛むことには他にも

・脳を活性化し認知症を予防する。
・肥満を防止する  などのメリットもあります。

当院では、全ての方の健康寿命を伸ばすことを目標にしています。そのためには噛むことです。自分の歯でいつまでもおいしく食事をすることが最後の10年を寝たきりにしないために大切なことなのです。

食べることはとても大切なことです。ぜひ食べ物のおいしさを感じながらしっかり噛んで食事してくださいね。最後に堀ちえみさんが早く回復されますように心からお祈りいたします。

最近増えている「顎関節症」

最近「顎が痛い」「口が開きにくい」「カクカク音がする」とおっしゃる患者さんが多いようです。

その症状、顎関節症ではないですか?

最近は顎関節症の人が増えているようで、男性より女性の方が2~3倍多く、特に20代と50代の女性に多いようです。

顎関節症という言葉は聞いたことあるけど詳しくは分からないという方は多いと思います。

よって、今日は顎関節症についてお話ししたいと思います。

 

ではまず顎関節の構造を簡単にご説明します。

 

顎関節は図で表すとこのようになっています。

頭蓋骨の骨と下顎の骨がこのように凸凹がはまるような形になっており、

この骨と骨の間には軟骨と同じようなクッションの役割をしている関節円板からなっています。

 

この下顎の骨が前に移動したり回転することで口を開閉する運動をしています

 

次に顎関節症についてです。

顎関節症とは、顎関節や咀嚼筋の痛み・関節雑音(カクカク音がするなど)・開けると痛い・口が開きにくい(開口障害)など顎関節に起こる慢性的な疾患の総合的な名称のことです。

人によっては耳痛・耳鳴り・めまい・頭痛・頚部痛など周りの組織に痛みが出る場合もあります。

 

 

そして顎関節症は原因や痛みのある箇所によって5つのタイプに分類されています。

 

Ⅰ型:咀嚼筋の痛みが主な症状で顎関節に痛みがないタイプ

Ⅱ型:持続的な外傷や下顎を強く打ったことにより顎関節の周りの

組織が傷ついてしまったタイプ

Ⅲ型:関節円板の位置がずれたり、変形したことが原因で関節雑音・開口障害・痛みなどが生じるタイプ

Ⅳ型:顎関節に強い負荷がかかり骨自体が変形してしまったタイプ

Ⅴ型:それ以外が原因のタイプ(不安やストレスが原因のものも含む)

 

この中でも特にⅢ型の関節円板に障害のあるタイプが60%ほどを占めるそうです。

原因は一つというわけではなく、咬み合わせの異常、歯ぎしりや食いしばりなどの悪習癖、ストレスなど様々な要因が合わさって発症・増悪すると考えられています。

 

そして顎関節症の診断にはご本人の自覚症状と顎関節やその周辺の筋肉の触診や口が最大どのくらい開けられるかの距離や顎運動の診査などの一般診査と歯科用のエックス線診査などの画像診査を行いどのタイプか、どのくらい重症かを診断し治療を行っていきます。

 

次に治療についてです。

当院は症状や顎関節のレントゲンを元に院長が診断し、必要ならばスプリントの作製を行っています。

今書いてきた症状に心当たりある方、顎関節などにお痛みのある方はお気軽にお声がけください。

親知らずってなに?!どうすればよい?

「最近親しらずがうずいてきて、歯医者さんで抜いてもらおうかなぁ~。」

友達との会話でこんな話題が出てきました。体調不良の時や季節の変わり目にうずくという方もいて、痛みがひどい方は痛み止めの薬を飲んで症状を抑えているという話も聞きます。

そもそも親しらずとはどういった歯なのでしょうか。そしてなぜ痛むことがあるのでしょうか。

 

まず永久歯の名称と本数について学んでいきたいと思います。

上の歯を参考にしてみます。上の前歯中央から右に移動して確認していきましょう。鏡で自分の歯を指さしながら確認してみるとより分かりやすいと思います。

1番目の歯:中切歯、2番目の歯:側切歯、3番目の歯:犬歯、4番目の歯:第一小臼歯、5番目の歯:第二小臼歯、6番目の歯:第一大臼歯、7番目の歯:第二大臼歯、8番目の歯:第三大臼歯

と計8本あり、それぞれの歯に〇〇歯と名前がついています。

この並びのセットが右上、左上、右下、左下と4ブロックあり、永久歯は8本×4ブロックで合計32本が一般的です。

指さして確認した時、7番目までしかなかったという方もいるかもしれません。歯を抜いた経験がない方は7番目の後ろに8番目の歯である第三大臼歯が埋まっている可能性が高いです。

この一番奥にある第三大臼歯が別名「親しらず」といいます。

乳歯の生え始めとは違い、親がこの歯の生え始めを知ることはない・・ということが「親しらず」の語源になっているそうです。

現代人の顎は昔の人より小さくなっているので第三大臼歯まで生え切らず埋まっていることや歯の頭が少し出ていることが多いです。もちろん完全に生えている方もいます。

食事や普段の生活に支障がない場合は第三大臼歯が埋まっている状態でも全く問題ないです。第三大臼歯が完全に生えて上と下で噛み合っている場合も問題はありません。しかし

・頭が少し出ていて歯ブラシの毛先が届き切らず虫歯になっている

・埋まっている第三大臼歯が真横に生えて第二大臼歯を押して痛みが出る

・歯並びに影響している

 

こんな時は抜いた方がよいです。365日歯ブラシが当たっていない場所があると思うとぞっとしませんか??

抜き方にもパターンがあるので順番に見ていきましょう。

まずはパノラマレントゲン写真を撮り、歯がどのような向きで生えているか調べます。

歯が生えている種類は大きく分けて3種類に分けられます

①真っすぐ生えている

②斜めに生えている 

③真横に生えている 

抜歯を行う場合は表面麻酔を行い、局所麻酔を行います。

①真っすぐ生えている時は歯の頭をペンチのような器具(抜歯鉗子ばっしかんし)でつかみ、抜きます。

②斜めに生えている時は第三大臼歯や骨の一部を歯を削る機械で分割し、抜いていきます。

③真横に生えている時は歯茎をメスで開き、歯の頭と根を機械で削って分割し、頭を抜いた後根を抜きます。

メスで切り開いた後は抜歯した穴を針と糸で縫います。

この時期は寒い日が続いたり、風邪も流行っているので体調不良を抱えている方がいらっしゃるかもしれません。親しらずでお悩みの方は是非ご相談ください。

バイオフィルムと最新機器エアフロー

インフルが猛威を振るっていますね。みなさん、体調は大丈夫ですか?歯科衛生士の住井です。

冬こそ、お口の中をきれいにしているといいことがあります。

口腔内が乾燥していると菌が活動しやすくなってしまいます。そのため、うがいを細めにする、唾液腺マッサージをすることにより口腔内に潤いを与えているとインフルエンザにもなりにくいと言われています。今日はメンテナンスで使用しているエアフローという機械についての研修報告などを書かせていただきます。

10月に岡山へエアフローの研修に行ってきました。

そこでエアフローのすごさ、素晴らしさを習ってきました。

当医院ではメンテナンス、矯正治療中の人などはエアフローを使用して歯をツルツルにケアさせていただいています。

歯の表面に付着したヌルヌルした物がバイオフィルムという細菌同士が集まった構造体です。このバイオフィルムは虫歯と歯周病の原因になります。

このバイオフィルムを完全に除去できるのがエアフローです。

当医院では糖アルコールの一種であるエリトリトールを配合したパウダーを使用し水と空気の力で歯に吹き付けバイオフィルムを完全除去します。

歯を傷つけることなくバイオフィルムを除去することができる最新の予防処置機械です。

エアフローを使用してメンテナンスを繰り返していると歯がツルツルになりバイキンも着色も付きにくくなってきます。歯やかぶせに傷がつくとその傷にバイキンや着色が付着しやすくなるのです。歯やかぶせを傷つけないというのは歯磨きでバイキンが落ちやすくいい状態を保つのに必須と言えます。

定期的なエアフローを使用したケアは虫歯予防、歯周病予防にかなりの効果があります。

日本よりも予防歯科が発達しているスイスのEMR社の製品です。日本人で定期的な歯のメンテナンスをしている人は20%もいません。予防歯科が発展しているスイスの予防を当医院では行っているのです。

☆診査 歯ぐきの検査

☆染め出し バイオフィルムを完全除去するため

☆情報提供 予防の重要性、歯ブラシやケア用品のすすめ

☆エアフローにてバイオフィルムの除去

☆歯石の除去

☆指さし確認 バイオフィルムが残ってないか最終確認

☆次の定期健診の予約

 

定期健診、矯正治療中、矯正後、インプラントを入れておられる方はこの手順で定期健診を実施させていただきたいのです。

1日でも長くご自分の歯でおいしく食べて頂けるようにお手伝いをさせていただきたいと私たちは考えています。口腔内をきれいに保つことは糖尿病、脳梗塞、肺炎予防になります。冬は特に肺炎、インフルエンザの予防になりますのでぜひエアフローを体験しに来てみてください。きっとツルツルしたご自分の歯に驚きと感動があると思います。

歯周病と全身疾患との関係

歯周病と全身疾患との関係

皆さん、「歯周病」はどんな病気か知っていますか?

歯茎が腫れたり歯垢が溜まったりとなんとなくイメージはできると思います。

歯周病とは、歯周病細菌が歯と歯茎の間に入り、歯周組織に炎症が起きる病気です。

実は日本人の成人が歯をなくす原因第一位が歯周病なのです。

歯の構造には、エナメル質、歯肉、セメント質、歯槽骨、歯根膜とよばれる4つの組織があります。

歯周病になる原因は歯周病細菌です。歯と歯茎の境目は溝になっていています。

そこに歯ブラシが当たっていないと、多くの歯周病細菌が溜まり、歯茎が炎症を起こしたり、腫れたり、出血が起きたりします。

原因の歯周病細菌を取り除かないと、歯周病を進行させる毒素を出していき、歯周病を進行させます。

私たち、歯科衛生士は初診の方、歯周病治療、定期検診などに来られた方を対象に歯周病の進行度を測る検査を行っています。

歯周ポケットが2~3mmが正常、4mm以上になると歯周病が進んでいる状態になります。

検査で出血をすることがありますが、血が出るということは歯茎が腫れていたり炎症があるだけではなく、血管に歯周病細菌が入って体中を回っているということになります。

このことから歯周病はお口だけの問題と思われがちなのですが実は全身と大きく関わってくるのです。

歯周病細菌が悪さをすると全身のどのような病気と関わってくるのでしょうか。

<糖尿病>

よく知られているのが歯周病と糖尿病の関係です。

糖尿病によって弱っている体は、歯周病菌に抵抗する力も弱くなっています。ですから、歯周病にかかりやすく、治りにくく、重症になりやすくなります。歯周病の治療を積極的にすることで血糖コントロールが改善すると言われています。

<心・血管疾患>

心臓病、脳卒中は動脈硬化を原因とする心血管疾患で、歯周病細菌などの刺激によって、血管を詰まらせる原因になる物質を出して血管を詰まらせます。血液中の炎症性の物質の数値が高いと起こりやすくなります。歯周病の方は全身が軽い炎症状態にあるので、炎症性物質の数値が少し高くなり、動脈硬化が起こりやすくなります。

他にも直接歯周病菌が入ってしまう肺炎や体の骨密度が低いことから同年代や同じ歯周病の要因を持つ方と比べて骨粗しょう症の人は歯周病になりやすい傾向があります。

このように、歯周病は全身疾患と関連しているので、歯周病の治りが遅くなったり、病気の治る傾向が悪くなったりすることがあります。

歯周病のリスクは妊婦の方にもあります。歯の治療がおなかの赤ちゃんに影響するのではないかとか、体調が悪いこともあってタイミングを逃してしまい出産までに歯の検診に行けなかったという妊婦の方が多いです。

歯周病になると、歯周病細菌が血管の中に入り子宮にのぼって感染してしまうことがあります。

つわりによって歯磨きを行いにくかったり、食べ物の変化により歯の表面が弱くなることがあります。

そして、ホルモンバランスの変化によって唾液の分泌量に変動が起こりやすいです。

お口の環境を整えている唾液の働きが低下するため、お口の中にバイキンが停滞し、虫歯や歯周病になりやすいです。

歯周病にかかっている妊婦の方はかかっていない方に比べ、早産リスクが7倍に膨くらむといわれています。歯周病の炎症があると、子宮を収縮させる作用がある物質(プロスタグランジン)の血中濃度が高まります。特にプロスタグランジンは陣痛促進剤として使用されるほど子宮収縮作用が強いです。また、歯周病細菌の中には女性ホルモンの影響で増えていく菌があります。歯周病が重症化すると早産や低体重児のリスクが高まり、不妊リスクや不妊治療中の方は妊娠を遅らせる可能性があります。

以外と知られていないんですよね。

妊娠中の方、不妊治療中の方も歯周病を治療して自分もおなかの赤ちゃんも一緒に守りましょう。

歯周病は予防できる病気です。

予防するために患者さんにしていただくことはこの4つです。

■自分でバイキンをコントロール(自宅でのブラッシング)
■歯周病細菌を減少される習慣を身に付ける
■歯石やバイオフィルム除去(歯周病治療に通う)
■定期検診に通う

歯周病は気づかないうちに進んでいます。

歯を長持ちさせるため、自分の歯でおいしく食事をするため、全身の健康を維持するために

歯周病の早期発見や進行をさせないよう、定期検診、歯周病の治療を積極的に行っていき、予防をしていくことが大切です。

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