日本矯正歯科学会認定医 河底晴紀
「突然、歯がズキズキ痛む…」
「市販薬が効かないとき、歯医者でボルタレンを出されたけど大丈夫?」
そんな不安を感じていませんか?
ボルタレン(ジクロフェナクナトリウム)は、整形外科や内科でよく使われる鎮痛薬ですが、実は歯科でも非常に頼りになる痛み止めのひとつです。
この記事では、福山の歯医者として多くの痛みの治療を行ってきた当院の視点から、
歯の痛みに対するボルタレンの効果や使用タイミング、注意点について、わかりやすく解説します。
◆ 歯の痛みにボルタレンは効くの?
結論からお伝えすると、ボルタレンは歯の痛みに非常に有効です。
ボルタレンはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の一種で、炎症を抑えることで痛み・腫れ・発熱を和らげる効果があります。
ロキソニンやイブプロフェンといった一般的な鎮痛薬と比べて、作用が強力で即効性があるため、
歯科領域では「強い痛みが予測されるケース」や「他の鎮痛薬が効きにくい場合」に選ばれることが多い薬です。
◆ どんなときにボルタレンが使われるの?
● 親知らずの抜歯後
難症例の親知らずの抜歯後には、数日間にわたる痛みや腫れが予想されます。
ボルタレンの強い抗炎症作用により、腫れや痛みのピークを和らげる効果が期待できます。
● インプラント手術後
人工歯根を骨に埋め込むインプラント治療では、術後の不快感や痛みのコントロールが重要です。
ボルタレンは術後の痛みを予防的に抑える目的で処方されることがあります。
● 歯髄炎や根尖性歯周炎(神経が炎症を起こしている場合)
ズキズキと響くような痛みがある場合、歯の神経に炎症が及んでいる可能性があります。
ロキソニンでは効果が不十分なケースでも、ボルタレンならしっかり痛みを抑えられることがあります。
● 顎関節症や口内の外傷
顎の関節の痛みや口の中をぶつけた際の粘膜炎症にも、ボルタレンは効果的です。
歯科領域での“万能薬”的存在ともいえるでしょう。
◆ 当院では基本「院外処方」ですが、必要時には院内処方にも対応しています
当院では、薬の処方は原則として**院外処方(調剤薬局でお受け取り)**を採用しています。
その理由は以下のとおりです。
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処方の自由度が高く、症状や体質に応じた用量調整ができる
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ジェネリック医薬品の選択がしやすく、経済的負担を軽減できる
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薬剤師による服薬指導、副作用チェックを受けられる
ただし、薬局が閉まっている場合は院内処方で対応します
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土曜午後・日祝など調剤薬局が営業していない
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急な痛みが発生したときに即対応が必要な場合
このようなケースでは、当院の院内在庫からボルタレンなど必要な薬を迅速に処方できます。
さらに、マイナンバーカードによる保険証登録をされている方で、薬剤情報の提供がある場合には、
院内処方であっても他院との薬の重複や飲み合わせの確認が可能です。
患者様が安心して薬を使えるよう、情報管理にも細心の注意を払っています。
◆ ボルタレンは“痛くなる前に飲む”のがコツ
「痛みが出てから薬を飲む」よりも、**“痛みが出る前にあらかじめ飲む”**方が効果的だとご存じでしたか?
これは「先制鎮痛(せんせいちんつう)」という考え方で、
抜歯やインプラントなどの術後に強い痛みが出そうな場合は、早めの服用で痛みのピークを防ぐことが可能になります。
当院では、術前のご説明の段階から服用タイミングや回数を丁寧にご案内しています。
ボルタレンを最大限に活かすために、「我慢せず早めに飲む」ことをおすすめしています。
◆ ボルタレンの注意点とは?
効果が強い分、注意して使うべき点もあります。
● 胃腸への負担
空腹時に服用すると、胃痛や胃もたれの原因になります。
必ず食後に服用しましょう。
● 腎臓・肝臓への影響
既往歴がある方は、事前にお知らせください。必要に応じて他の鎮痛薬を選びます。
● 他薬との併用
他のNSAIDs(ロキソニンなど)や、血液をサラサラにする薬との併用は注意が必要です。
マイナ保険証の薬剤情報提供や、お薬手帳の提示で重複リスクは避けられます。
◆ 痛み止めに頼らないためには?虫歯は小さいうちに!
ボルタレンは非常に優れた鎮痛薬ですが、
そもそも**“薬が必要になるほどの痛み”が起こる前に治療することが理想的**です。
歯の痛みは我慢できても、進行すれば次第に
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神経の炎症
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骨への感染
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歯の保存が困難に
と悪化していきます。
虫歯や歯周病は、初期段階なら1〜2回の治療で完了するケースも多いです。
「痛くなってから」ではなく、「気になったらすぐに」ご相談いただけることが、
最も大切な“痛みの予防”です。
◆ まとめ|ボルタレンは頼れる痛み止め。だけど治療の主役は「早期受診」
ポイント | 内容 |
---|---|
ボルタレンの効果 | 強力な鎮痛・抗炎症作用。抜歯や神経の痛みに有効 |
使用タイミング | 痛みが強くなる前に服用するのがベスト |
当院の処方方法 | 原則院外処方。薬局が閉まっている場合は院内処方可 |
薬剤管理 | マイナカード登録や情報開示で安全な薬の管理が可能 |
本質的治療とは | 痛みが出る前の受診と予防が何よりも大切 |
福山で歯の痛みにお悩みの方へ。
「すぐにでもこの痛みをなんとかしたい」そんなときは、我慢せず当院にご相談ください。
的確な診断と処方、必要に応じた治療で、根本から“痛みのない毎日”を目指します。
この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。
・歯学博士
・日本矯正歯科学会認定医
◾️所属
・日本臨床歯科学会
・K-Project
・FCDC
・MID-G
・福山市歯科医師会 理事

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