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前歯が生えてこない…切開・牽引の必要性と安心の選択肢を専門医が解説

日本矯正歯科学会認定医・歯学博士 河底晴紀

はじめに:お子さんの「前歯が生えない」不安、ありませんか?

「うちの子、乳歯が抜けたのにいつまでも前歯が生えてこない…」

「隣の子より生え変わりが遅くて心配…」

「切開や手術って必要なの?切開って聞くだけで怖い」

こんなお悩みを抱える親御さんは、実はとても多いです。

矯正歯科を専門に診療している日本矯正歯科学会認定医の私、河底晴紀が、

今回はこの不安を解消するために、前歯が生えてこない原因と治療方法、

そして切開・牽引の適応や、埋伏のまま経過をみる場合、もし永久歯がない場合の対応まで、

やさしく、わかりやすく解説します。


なぜ前歯が生えてこないの?|原因を知ることが第一歩

乳歯が抜けて半年〜1年ほど経っても永久歯が生えてこない場合、

大きく分けて以下のような原因が考えられます。


1. 歯が生えるスペースが足りない

子どもの顎は成長途中です。もし顎の大きさに対して歯が大きいと、

生える場所が不足し、永久歯が正しいルートで出てこられなくなります。

特に前歯は幅が広いので、スペース不足が原因になることが多いです。最近のお子さんは、栄養がよく歯が大きいお子さんも多いですね。


2. 埋伏歯(歯の向きや位置の問題)

歯が骨の中や歯ぐきの奥に埋まっている状態を埋伏歯といいます。

埋伏歯は、歯の生える方向がずれていたり、周囲の骨に引っかかっているために、

自然に萌出できないことがあります。


3. 歯の欠如(先天性欠損)

まれに、もともと永久歯の芽(歯胚)がないお子さんもいらっしゃいます。

これを先天性欠損といい、レントゲン検査で確認できます。


4. 歯ぐきや骨が厚い

歯の上を覆う骨や粘膜が厚すぎて、歯が突き抜けてこられない場合もあります。


どんな検査でわかるの?

前歯が生えてこない場合、まずは以下の検査を行います。

レントゲン撮影

埋伏歯の有無や方向を確認します。

必要に応じてCT検査

歯の正確な位置と周囲の骨の状態を立体的に把握します。

※ CTは全ての歯科医院にあるわけではありません。

福山市の河底歯科・矯正歯科ではCTを完備しており、必要に応じて撮影します。


切開と牽引ってどんな治療?

埋伏している前歯を自然に生やすことが難しいと診断された場合、

切開して歯の頭を露出し、矯正装置で牽引するという方法を選択します。

🔹 切開とは

局所麻酔を行い、歯ぐきを小さく切開して、歯の表面を出します。

処置時間は30分程度で、痛みも最小限です。

🔹 牽引とは

露出した歯に小さな金具(ボタン)をつけ、ワイヤーやゴムでゆっくりと正しい位置に引っ張っていきます。

期間は数ヶ月〜1年程度が一般的です。


必ず切開・牽引が必要なの?

ここで大切なのは、

埋伏しているからといって必ず牽引するわけではない ということです。

✔️ 歯の位置が深く、牽引すると他の歯に負担が大きい場合

✔️ 無理に引っ張ると歯の根が吸収してしまうリスクがある場合

✔️ 顎の成長とともに自然に生える可能性が高い場合

このような場合には、切開せず経過観察を選択することがあります。

当院では、むやみに手術や牽引を勧めず、

レントゲン・CTを活用し、将来の噛み合わせまで考慮した最適な選択を行います。

こちらも埋伏している歯を牽引している症例です。ご覧ください。


もし永久歯がない場合(先天性欠損)

レントゲンで確認した結果、

永久歯自体が存在しない(先天性欠損)と診断されるケースもあります。

この場合、

両隣の歯を少しずつ寄せてスペースを閉じる(矯正治療)

将来的に入れ歯やブリッジで補う

十分な骨の成長を待ってインプラントを埋入する

など、年齢や状況に合わせた治療計画をご提案します。


前歯が生えてこないと放置するとどうなる?

放置すると…

  • 歯並び全体が乱れる

  • 隙間に隣の歯が倒れ込む

  • 噛み合わせにズレが生じる

  • 矯正治療が複雑化・長期化する

といった問題が起こりやすくなります。

ですので、乳歯が抜けて半年以上経っても前歯が生えてこない場合は、

必ず一度、矯正専門の歯科医院を受診してください。


福山で前歯の埋伏歯治療なら当院へ

福山市の当院では、

矯正専門医による正確な診断

CTを活用した安全な切開・牽引

必要のない処置は無理に行わない治療方針

将来的な補綴治療(インプラント・ブリッジ)もご提案

を大切にしています。

お子さんの前歯が生えてこなくて心配な親御さん、

どうぞお気軽にご相談ください。

筆者プロフィール:河底晴紀(歯学博士/日本矯正歯科学会認定医)

この記事は、河底歯科・矯正歯科院長河底晴紀が書いております。

◾️資格

・歯学博士

・日本矯正歯科学会認定医

◾️所属

・日本臨床歯科学会

K-Project

・FCDC

MID-G 

広島県歯科医師会

・福山市歯科医師会 理事

 

今までに開窓した患者さん(治療時15才)のパノラマ写真です。上の左右3番を牽引しました。

#埋伏前

#牽引後(まだ治療途中です)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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