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むし歯より怖い歯周病

あなたは、歯を失う二大疾患をご存じですか?

「むし歯」はまっさきに浮かんでくることだと思います。

もう1つは・・・そう「歯周病」なんです。

実はこの歯周病、歯の病気だけではなく、なんと全身の病気と関係があるのです!

今日は、その「歯周病」について、しっかりとお話ししようと思います。

歯周病とは・・・

まず、「歯周」とは具体的にはどの部分なのでしょうか?

読んで字のごとく、歯の周りで歯を支えている土台のことを歯周組織といいます。

歯周組織は、目に見えている歯肉(歯茎)と、外からは見ることができない歯根膜、セメント質、歯槽骨で構成されています。

歯の構造

この歯周組織に起こる病気が歯周病です。

歯周病は、プラーク(歯垢)という、歯に付着する細菌の固まりにより引き起こされます。

歯周病の直接的な原因は、これらの細菌の感染であり、これら細菌に体の生体防御機能(免疫)が負けてしまったときに歯周病になります。

歯周病とは感染症なのです。

この歯周病の直接的な原因となる細菌を「歯周病原性細菌」といい、これらの細菌は他のいろいろな細菌と集落を作って生活をしています。

これを「バイオフィルム」といいます。

例えば、台所の排水溝などに付着しているヌメヌメした汚れ・・・。あれを想像して頂ければいいと思います。

歯周病の原因となる細菌は、このような「バイオフィルム」と呼ばれる集落を作って生活しているため、単に薬をつけても細菌を死滅させることができません。

そして、症状の進行とともに歯がぐらつき、最終的には抜けてしまいます。

ご存じのとおり、抜けた歯は二度と元には戻りません。

こうやって、次第に1本、、、2本、、、と歯を失っていくことになるのです。

歯周病の進行度

歯周病の進行度は、①歯肉炎 と ②歯周炎 の2段階に大別できます。

①歯肉炎

歯周病の原因となる細菌は毒素を出して体の組織内に入り込もうとします。

体は外から異物である細菌が入り込もうとすると防衛機能が働いて、その細菌が入ってこないように戦います。いわゆる免疫反応ですね。

細菌と戦っていると、戦場となった歯肉(歯茎)は焼け野原のような状態になります。

この状態が「炎症」です。

実際には歯肉が腫れたり、出血しやすくなります。

この段階が「歯肉炎」です。

ほとんどがブラッシングや歯石除去だけで改善されます。

若年層の方でも思春期性歯肉炎や、妊娠中の妊娠性歯肉炎などの注意が必要です。

②歯周炎

体の防衛機能がなんとか細菌の侵入を食い止めようとしても、プラークが溜まり細菌が増え続ければ、体側はだんだん不利になって後退していきます。

歯周病説明用

その結果、歯肉が下がり、歯周ポケットができてしまいます。(上記図参照)

歯周ポケットとは、歯と歯肉の境目にできる病的な隙間のことをいいます。

この歯周ポケットができると細菌はさらに暴れるようになり、炎症はより深いところまで進んでいき、やがては歯を支えている骨(歯槽骨)などの部分に近づきます。

すると歯を支えている骨は炎症から逃げようとして、体に吸収されていきます。

これが「歯周炎」です。

この状態になるとさらにポケットは深くなり、炎症も拡大し、やがては歯の根元まで進んでいき、最終的には歯が抜けてしまいます。

歯周病と全身疾患の関係

成人における歯周病は、近年のさまざまな研究から、生活習慣病との深い関係性が分かってきました。

特に、歯周病と糖尿病、心疾患、肥満などは、互いに影響しながら重症化する傾向があることもあきらかになっています。

Pと全身疾患との関係

●糖尿病

糖尿病は喫煙と並ぶ歯周病のリスク因子で、糖尿病の合併症の1つともいわれています。

また、炎症を起こした歯周組織の影響で、インスリンの働きを妨げて血糖値を上昇させるとも考えられており、歯周病治療によりインスリンの働きが活発になり、改善されることがわかっています。

●心疾患

歯周病原性細菌が血液中に入り、心臓などに感染を引き起こすことがあります。

また細菌などの刺激によって動脈硬化が進行し、狭心症や心筋梗塞が引き起こされることもあります。

●肥満

内臓の周りに脂肪が溜まる「内臓脂肪型肥満」は、動脈硬化を進行させる原因の1つです。

上記したように、歯周病の原因となる細菌などの刺激によって、この動脈硬化がさらに進行していきます。

この他にも、歯周病に罹患している妊婦さんは早産、低体重児出産のリスクが高くなるという報告があります。

「歯周病は歯の病気」と思っていた方は多いと思いますが、全身の病気に関係してくるとは驚きですね!

歯周病は初期の段階では痛みなどはほとんどありません。

「歯磨きをしっかりしてればいいよね?」

と思われた方・・・。セルフケアは必須ですが、それだけでは足りません。

最初にお話ししましたように、細菌は「バイオフィルム」という集落を作って生活していて、それはセルフケアだけではしっかりと取り除くことができません。

毎日のセルフケアはもちろんのこと、それと同時にプロのケアも必要となります。

歯ブラシでは届かない歯周ポケットに入り込んだバイオフィルムは、歯科衛生士のケアによって取り除くしかないのです。

入れ歯もプロフェッショナルなケアが必要です

「入れ歯は人工物なので磨く必要はない」と考えている方も少なくないと思いますが、もちろん入れ歯もケアが必要です。

ケアをしないままでいるとプラークが溜まり、その中の細菌を誤飲・誤嚥し、肺炎を招くリスクがあります。

またその細菌によって、健康な歯まで歯周病やむし歯になる可能性もでてきます。

まずは入れ歯専用のブラシなどを使った清掃が最も重要です。

そしてブラシなどの清掃で取りきれない歯石や細菌には、化学的な清掃方法をとります。

当院では、市販されていない歯科医専用の強力な薬剤と超音波を用いて入れ歯についた歯石や細菌を取り除く、入れ歯のクリーニングをおこなっております。

驚きの洗浄力ですのでぜひ一度お試しください。

歯周病の治療・予防は、あなたと歯科衛生士との二人三脚で初めて成立します!

治療や予防について詳しくお知りになりたい方はご遠慮なく当院スタッフにお気軽にお尋ねください。

治療の為の定期的な通院、治療後のメンテナンス・・・

忙しい中、大変だとは思いますが、一緒にがんばっていきましょう!!



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