歯科衛生士の吉岡です。
お子様が歯科医院に来られた時、お母様からよく「虫歯はありますか?」と聞かれます。
虫歯のあるお子様はもちろん歯にバイキンもついていますが、間食について聞いてみると
「自分で冷蔵庫からコーラをだしてよく飲むんです」と虫歯と間食の関係性が食習慣の中で見られます。
皆さんのお子様の食習慣はどうですか?甘いものばかり食べていませんか?だらだら食べていませんか?虫歯は歯磨きができていないとなるというわけではなく、食習慣にも大きく関わっています。
1~5歳ぐらいまでは1日に必要な栄養量を3回の食事では満たせないため、1~2回の間食が必要になりますが、間食の量、種類、回数、摂取エネルギーなどが虫歯の発症に関与しています。
みなさんは酸が歯を溶かすことを知っていますか?
食べていない時のお口の中のpHは6.5~7.0くらいでほぼ中性ですが、甘いもの(糖類)
を食べるとすぐにpHが酸性に傾いて、酸が歯を溶かしていきます。
特にだらだら食べになってしまうとお口の中が長時間酸性になってしまい、歯を溶かしていくのです。
実際に虫歯になりやすいもの、なりにくいものにはどのようなものがあるのでしょうか。
~なりやすいもの~
・アメ ・ガム(砂糖入り)・チョコレート ・クッキー ・菓子パン ・炭酸飲料 など
この中には、砂糖を多く含んでいるものばかりです。
アメやガムは、お口の中に入っている時間が長いです。チョコレートやクッキーは歯にくっついて歯の溝に残りやすい状態になります。
~なりにくいもの~
・リンゴ ・おにぎり ・バナナ ・さつまいも ・牛乳 ・麦茶 ・お茶 など
これらは砂糖を含んでいない、または自然の糖分で、食べかすも残りにくいものです。
お母様の手作りのものも良いかと思います。
このように虫歯になりやすいものならないものがそれぞれあることが分かりましたね。
では、虫歯にならないためにどういった間食の取り方をしていけばよいのか詳しくお伝えします。
・甘いものを食べた後には甘いものを洗い流すものを食べる
たとえば、アメを食べた後には酸を作り出さないキシリトール入りのガムやタブレットを食べるようにすると良いです
当院にもキシリトール入りのタブレットがあります
・時間と回数ですが、3歳未満は甘みが強い物を摂取すると甘い味を覚えると欲しがるようになり、虫歯になりやすくなるだけではなく、味覚の発達が妨げられて甘党になりやすくなります。この影響で野菜を食べなくなったり、好き嫌いの多いお子様になる可能性もあります。
3歳未満はお母様の管理下にあるのでお母様次第では糖分を含む食べ物の摂取を禁止することが可能です。
しかし、3歳を過ぎて行動範囲が広がってくると、友達の家で糖分を含むものを与えられるなど、糖分の禁止は難しくなるので、時間は「10時、15時」など決まった時に、回数は1日2回、量は1皿分などと決めると良いと思います。寝る前に糖分の多いものを食べてそのまま寝てしまうと虫歯になりやすいです。間食した後は歯磨きをして予防しましょう。
・間食は栄養のバランスを考えて、野菜の入ったものやおにぎりなどお母様の手作りのものも良いでしょう。
・お菓子と飲み物の組合せを考えてみましょう。
ケーキ+お茶 など甘いものを食べたら飲み物はお茶や牛乳に変えてみてください。
また、ジューズを飲みたいときは糖分が少ないものに変えるのもいいと思います。
・虫歯予防のための食品の選択には、「特定健康用食品(トクホ)」や「歯に信頼」マークが役立ちます。
・噛みごたえのあるものにする
イカや昆布などお子様が食べることは少ないと思いますが、
しっかり咬むことによって唾液の分泌をよくしてくれるので虫歯菌によって作り出された酸と中和し酸によって溶かされた歯を修復する役割があります。
また、よくかむということは最近グルメ志向や食品のソフト化などによって咬むことの
重要性を忘れ去られようとしていますが、最近ではよく咬んで食べていないことから顎の成長不足で歯並びに影響が出てきたりすることが増えてきています。
顎を発達させるためにも大切です。
虫歯予防には、定期健診へ行く、シーラントをしてもらう、フッ素を塗ってもらうことなど、
様々な予防方法があります。どれも大切なことですが、まず、皆さんが家庭内で一番できることは、食習慣や歯磨き習慣を身につけることです。
乳歯だからいずれ抜けてしまうと思わず、今(小児期)から虫歯にならない予防習慣を身に
つけていると永久歯になってからも虫歯予防がしていけるようになると思います。